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 2024/05/06 02:25

「オリンピック出場をかけた準決勝」大岩ジャパン、重責を担って戦う


前日記者会見にて、イラクのラディ・シュナイシェル監督と握手を交わす日本の大岩監督(右)

前日記者会見にて、イラクのラディ・シュナイシェル監督と握手を交わす日本の大岩監督(右)



美しいプレイかパリ行きのチケットか


「美しいサッカーを目指すのも重要ですが、明日の試合では勝利が必要です」


 U-23イラク代表のラディ・シュナイシェル監督がこのように述べたとしたら、準決勝に駒を進めた他の代表チームの監督たちも、きっとうなずきながら微笑むだろう。


 4月15日に開幕してからのAFC U23アジアカップも、ついに準決勝を迎える。


 パリオリンピックの予選も兼ねるこのトーナメントでは、アジアからの出場枠は3.5と定められている。上位3チームが直接パリへの道を確保し、4位のチームはプレーオフを通じて最後の一枠を争うこととなる。すなわち、準決勝は「勝てばオリンピック」という、重大な一戦になるのだ。


 イラクの記者がこれまでの試合展開に対して強い不満を示し、選手のパフォーマンスに影響を与えているとラディ監督を批判する場面で、彼から飛び出したのが冒頭の発言だった。


「私たちには強大なプレッシャーがかかっており、勝利すること、そして必ずしも美しいサッカーを追求しないことに集中しています」


 シュナイシェル監督のこの反応は、目の前の勝利が何よりも重要であるという現実を強調するもので、それは各代表チームが負う大きな使命でもある。


 シェナイシル監督自身も、1993年アメリカW杯予選でイラク代表として活躍し、日本がワールドカップの初出場を逃した「ドーハの悲劇」でプレーした経験を持つ。


 その試合は、日本にとってもイラクにとっても、「悲劇」と呼ばれる出来事であった。特にイラクは、湾岸戦争の直後、国内が混乱の真っ最中であったにもかかわらず、アメリカでのワールドカップ出場を目前に惜しくも逃した。


 そうしたギリギリの戦いを身をもって経験してきた人だからこそ、「私たちはイラクの国民に多大な責任を負っている」という言葉には、現実への全力投球を求める説得力がある。


 同様の心持ちは、日本代表のMF山本理仁(シントトロイデン)からも伺えた。


「23人の選手全員とスタッフが一丸となって、粘り強くチケットを獲得するつもりです」


 目指すは、ゴールデンウィークが始まったばかりの特別な夜に美しいプレイを披露することではなく、パリオリンピックへの出場権を掴むこと。


 チームの技術面での話題提供者である山本がそう断言するのであれば、チームの焦点ははっきりしている。


 必要なのは変わった戦略ではなく、単純な勝利。それが、両チームの選手が共に心に抱いている最大の願望であろう。



対戦相手への対策は抜かりなし


試合を支配する役割を果たす藤田(左)。相手の速攻をかわしつつ、攻めの手を見つけ出せるか

試合を支配する役割を果たす藤田(左)。相手の速攻をかわしつつ、攻めの手を見つけ出せるか


 しかしながら、「どのように勝利を掴むか」という戦術において、日本とイラクのアプローチは一致していない可能性がある。


 FC東京のMF松木玖生は、「自分たちのスタイルでプレーすれば勝てる自信がある。それぞれがその信念を持っている」と語ったように、チーム日本の重点は「自分たちの力」に置かれている。


 この考えは、「技術的な面や体力的な面では、ヨーロッパや北米のチームと比べても遜色ない。アジアの試合では特に新たな驚きや圧倒されることはない」と藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)が述べていることに根差している。実際にイラクとの事前の試合で得た感覚を基に、「ボールを支配できる」という自信もある。重要なのは、そこからどのように攻撃を展開し、相手の強みであるカウンターを警戒しながら圧をかけ続けるかである。


 共通しているのは、これまでの練習や試合を通じて築き上げたチームの共通の理解と、その上での戦略を持って挑むことだ。


 一方、イラクの立ち位置はどうだろう。今大会を観察した日本選手たちはイラクを「パスをつなぐチーム」と認識しているが、日本に対する特別な準備があるかもしれない。


 イラクのキャプテン、MFムンタヘル・モハンメドが累積警告で次の試合に出場できないため、松木が「彼はキープレーヤーだ」と評した彼の不在が、戦術への影響を及ぼすだろう。より現実的で攻撃的な「結果を求める」戦術が取られる可能性がある。


 韓国とのグループステージ最終戦や、カタールとの準々決勝では、事前の予想とは違い、「日本向け」の防御的な布陣を選ぶサプライズが続いている。


「これは既に経験済みです」と笑う大岩監督も、イラクが日本に特化した戦略で挑んでくることを予想している。これまでの反省を踏まえ、そうした戦略にも対応する考えを持っている。


 この戦略に松木は、「私たちは準備ができています。相手が5バックを敷くとしても、うまく対応すれば攻略できるスペースも増える」とカタール戦を例に挙げながら対応策を語る。


 さらに、「試合によって相手を見極める」ことの重要性を選手たちは口々に語り、相手の布陣や戦術に合わせたプレースタイルが勝利のカギとなる。こうした柔軟性は、大会を通じて築き上げてきたチームの成長も示している。



代表選手の背負う深い「義務」


27日には、日本代表は日本国際学校の生徒たちとのふれあいの時間を持った。

27日には、日本代表は日本国際学校の生徒たちとのふれあいの時間を持った。


 6試合までの長期戦を見越して、日本チームは初戦から「全員での戦い」を掲げ、ローテーション制を取り入れつつ戦ってきた(大岩監督)。


 中国との試合での退場や韓国との敗北といった逆風も経験したが、大岩監督は「トーナメントでは色々なことが起こり得るもの」と語っている。試合の結果よりも、その後のチームの対応が何より重要で、この点でチームは見事な一致団結を見せた。


 チーム内で互いに支援し合い、同じ目標に向かって進む団結力は結強い。五輪予選という目前の目標に向かい、選手たちはユニフォームの価値を肌で感じ、それが重圧を跳ね除ける力となっている。


 このようなプレッシャーとの闘いを経験することは、彼らの未来において確固たる肯定的影響をもたらすものだ。オリンピックのステージで成果を残すことは代表チームの一つの側面であり、将来のA代表を養成する育成地でもある。この大会がそのことを改めて思い起こさせる。


 そして、代表チームが背負う義務とは、落胆した時だけでなく、非難された時も立ち向かうことに他ならない。


 27日には地元の日本人学校の子どもたちと触れ合う会が催され、彼らに対して署名や優しい言葉で笑顔を届ける特権を持つのが代表選手だ。勝利して喜ばせる、それこそが代表選手が実感すべき真の責任であり、またそれが彼らの幸せにもつながる。


 29日の午前2時30分からはイラクとの重要な準決勝が控えており、「勝てばオリンピック」という明確な目標に向けて、結果が最優先される競技の場となっている。


 そこに生じるのは特有の重圧と、代表チームとしての真の「義務」を果たす重大な舞台が待っている。


 このチームが初期の頃から変化し、団結と成長を遂げた今、彼らが堅固な試合を展開することには期待している。美しさは二の次でもよい、彼らの力強いプレーに期待しているのだ。