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 2024/03/29 02:16

遠藤航の効果的なパスで変わるリズム、劇的な「ラストミニッツ弾」で勝利に貢献


試合で途中出場した遠藤航は、後半15分の出場からチームの流れを変え、劇的な勝利の立役者として輝いた。

試合で途中出場した遠藤航は、後半15分の出場からチームの流れを変え、劇的な勝利の立役者として輝いた。


 苦しいチームの状況の中、3月2日のノッティンガム・フォレスト戦で遠藤航は後半15分からの出場でチームに新しいリズムを与えた。過密日程や怪我人続出により苦戦していたリバプールはこの日、若手選手を多く起用しゴールが遠かったが、遠藤の投入とともに試合の流れが変わり、試合終了寸前に待望のゴールを挙げ1-0で勝利を収めた。



38年ぶりの勝利となる伝統校のスタジアム


 後半アディショナルタイム9分、すでに追加表示された8分を過ぎていた時、想定外のラストミニッツ+1分に試合を決定づける一撃が放たれた。


 言葉では表せない興奮がそこにはあり、終了のホイッスルがなる最後の瞬間まで、ひたすら勝利を信じ続けた。その信念と絶望がぶつかり合うような一瞬に、愛するチームがゴールを奪い取る。歓喜が血となり骨となり、フットボールのゲームで最も劇的な瞬間である試合終了間際の勝利ゴールを目の当たりにする実感は格別だった。


 アウェーでのノッティンガム・フォレスト戦は、リバプールにとって長きにわたる勝利がなかったスタジアムでの試合だった。プレミアリーグが設立される以前に二年連続で欧州の頂点に立った豪門の地で、リーグ戦での最後の勝利は1984年。当時のフォレストは衰退期にあり、プレミアリーグへの所属が少なかったことから直接対決の機会も少なかった。しかしその後、リーグ戦で6度対峙しながら勝ち星はなく、3分3敗の記録。リーグ戦では1984年以来、勝ち星を挙げていなかった。


 今年に入ってからは、チームのエースであるモハメド・サラーをはじめ、多くの主力が怪我により戦列を離れ、その中でもフォレストとのアウェー戦は11日間で4度目の遠征となった。その間には120分の熱戦を繰り広げたリーグカップ決勝もあった。


 ユルゲン・クロップ監督は忙しいスケジュールの間、回復に時間を割かざるを得ず、トレーニングに費やす時間も作れなかったと言っていた。


 さらにFA杯の前戦では選手不足に見舞われた。ケレハーを筆頭に、クアンサー、ブラッドリー、クラーク、マコーネル、クーマスと、若手の選手を先発に抜擢し、遠藤航は左足首を捻り果たして欠場。マック・アリスターも疲労で後半17分までベンチを温めた。そのため、実質的なレギュラー選手はファン・ダイクのみという状況だった。


 しかし、その試合では18歳のクーマスが先制点を挙げ、ダンズがさらに2点を追加し、チャンピオンシップに降格していたが近頃の好調を誇るサウサンプトンを相手に3-0で勝利を収めた。


 それにも関わらず、フォレストとのアウェーゲームを前にして、リバプールのチームは最悪の状況にあったことは変わらない。



遠藤とマック・アリスターのW司令塔が攻撃のリズムを生み出す


なかなかゴールを割れなかったリバプールだが、途中出場のヌニェスが終了間際に値千金弾! 鬼門のスタジアムで貴重な勝ち点3を奪い、首位の座を守った

なかなかゴールを割れなかったリバプールだが、途中出場のヌニェスが終了間際に値千金弾! 鬼門のスタジアムで貴重な勝ち点3を奪い、首位の座を守った


「もしも12日前に4連勝できるかと聞かれたら“不可能だ”と答えていただろう」


 56歳ドイツ人闘将も試合後そう語った。幸い足首の怪我が軽傷だった遠藤が復帰し、長い故障者リストからソボスライとヌニェスの2名が戦列に戻ったが、3人ともベンチスタート。3トップの右サイドは4試合連続で20歳MFのハーヴェイ・エリオットがサラーの代役となり、2試合連続でゴメスがアンカーを務めた。


「前半は良くなかった。良いリズムが生まれなかった。守備に重心がかかり、前に出る力が足りなかった」


 クロップ監督は見せ場が生まれず、逆にカウンターで相手がチャンスを作った前半をそう振り返ったが、それも無理はない。アンカーのゴメスは守備は無難にこなしたが、攻撃の起点となるパスを放つことはなかった。確かに急造のNO.6に対してそこまで注文するのは酷な話ではあるが、本来はDFであるゴメスが中盤の底でボールを捌ききれず、それがチームが乗れなかった要因の一つでもあった。


 さらに左インサイドハーフで先発した19歳MFのクラークが封じ込められ、1トップのコーディー・ガクポが孤立した。


 しかし、控え選手で構成した先発イレブンにはこういう問題はつきものだ。ほんのわずかな差ではあるが、真剣勝負の試合勘――マッチフィットがレギュラー陣との比較で欠け、ギアが切り替わらず、相手を凌駕(りょうが)するようないつものリバプールの速いテンポが生まれなかった。


 そうした展開で後半15分、クロップ監督が早めに動いた。遠藤とヌニェスを送り出した。センターラインの強化を図ったのは明らかだった。


「ダブルボランチ気味にやろうと声をかけました」


 ピッチに入った瞬間、遠藤がマック・アリスターの耳元で何かを囁いた。試合後、日本代表主将は今季からリバプールの10番を背負う25歳MFに「そう伝えた」と明かした。その言葉のとおり、遠藤は中盤の底でアルゼンチン代表MFとコンビを組み、引いた相手に対して今季のリバプールの中盤を新たに支える2人が20~30メートルのスルーパスを効果的に散らせて、前半に足りなかった攻撃のリズムを生み出した。


 この2人の司令塔は見応えがあった。遠藤は左サイドに張り出したディアスに放射線状のいいスルーパスを通した。またマック・アリスターはヌニェスを標的にしてハイボールのスルーパスを送り、さらにダイレクトにゴールを狙った。


 このアルゼンチン代表MFの試みが決勝点に結びついた。


 後半アディショナルタイム9分、マック・アリスターが左足で左前方にいたヌニェス目掛けて放った絶妙なボールに、相手DFに挟まれながらも187センチの長身FWが頭をこすりつけて、リバプールのシュートを阻み続けたフォレスト・ゴールの左隅に流し込んだ。


 試合の終盤、フォレストのサポーターはヌニェスに「お前は劣化したアンディ・キャロル!」とチャントを浴びせ続けていた。


 クロップ監督は言った。「ああ、聞こえていたよ。あのようなチャントを黙らせるには、今日のダルウィンのようにやるのがベストだ。彼があのチャントの意味を理解していたかって? きっと分かっていただろう。私ならあんなふうにダルウィンを怒らせるようなことは決してしない」と。


 アンディ・キャロルといえば、2011年1月、当時の英国人として史上最高額となった移籍金3500万ポンド(現在のレートで約67億9000万円)でリバプールに移籍してきたFW。この2010-11シーズンにプレミアリーグに昇格したばかりのニューカッスルでリーグ戦19試合に出場し、半年で11ゴールを奪取した。この活躍でイングランド代表にも招集された。しかしリバプールでは44試合のリーグ戦で6ゴールしか奪えず、わずか1年半後の2012年夏にウェストハムにレンタル移籍すると、翌2013-14シーズンに完全移籍した。


 つまりヌニェスは、リバプール史上に残る超期待外れの選手より格下と揶揄(やゆ)され、挑発されたのだ。


 確かに24歳FWには、キャロルと同様、高額選手としてリバプールに移籍したが思うようにゴールが決まらないという側面もある。フォレスト・サポーターはそんなヌニェスの事実を突いて気分を腐らせようとした。ところが逆に気性の激しい南米ウルグアイ代表FWの負けん気に火を付け、劇的な決勝ゴールを許してしまったのである。



劇的な勝利にもあくまで冷静だった遠藤


6日前のリーグ杯決勝で痛めた左足首の状態はまだ万全ではなかったが、遠藤はその影響を感じさせない質の高いプレーを披露。特に攻撃面でチームに貢献した

6日前のリーグ杯決勝で痛めた左足首の状態はまだ万全ではなかったが、遠藤はその影響を感じさせない質の高いプレーを披露。特に攻撃面でチームに貢献した


「とにかく勝ち点3が取れたのが良かったです。まあ難しい試合でしたけど、相手もよくやってたし。アウェーということもあったし。でも最後にしっかり勝てて良かったです」


 劇的すぎるラストミニッツ+1分の決勝弾が生まれて、興奮冷めやらない筆者が「しびれるような勝利だったが、ピッチ上でどんな思いがしたか?」と尋ねると、遠藤は静かな笑みを浮かべて、そんな落ち着いた答えを返してきた。


 そして、「来週はヨーロッパリーグが再開し、プレミアリーグではいよいよマンチェスター・シティとの決戦となるが?」と聞くと、「まずは1試合ずつ集中したい」とここでも冷静な答えを返した。


 心配された左足首の状態については、「まだ完璧ではないですけど、今日やってそんなに痛みはなかったので、大丈夫だと思います」と話し、「FAカップ戦はかなり若い選手主体で戦った。まあ、そうせざるを得ない状況でしたが、今日は少し怪我人も帰ってきて、そこはポジティブな要素だと思う。ここからチームとしてはどんどん上向きになっていくんじゃないかと思います」と続けて、リバプールの今後の優勝争いに明るい展望を示した。


 クロップ監督は「この試合が0-0に終わっていたとしても、選手が全力を尽くしたという事実に変わりはない。しかしこの重要なゴールで、勝ち点3を奪うという大きな結果に変わった」と話して、今季のリーグ戦できっと最悪の状態で臨んだに違いない一戦を振り返ると、ドローに終わっていても言い訳には困らない試合に勝利して、安堵の表情を浮かべた。



三笘の故障の詳細をブライトンは明かさず…


アジア杯参戦とその後の故障により、今年に入ってアーセナルではプレーしていない冨安だが、アルテタ監督は復帰間近であることを明言

アジア杯参戦とその後の故障により、今年に入ってアーセナルではプレーしていない冨安だが、アルテタ監督は復帰間近であることを明言


 一方ブライトンは同日、アウェーとはいえ、フラムにいいところなく0-3で敗北。4日前の火曜日にロベルト・デ・ゼルビ監督が「三笘は全治2~3カ月の腰の故障で今季中の復帰は絶望的」と語り、唐突にエースの離脱を公表すると、翌日水曜日のFA杯5回戦では0-1で惜敗し、この土曜日のリーグ戦は完敗した。


 もちろん欠場は決まっていたが、筆者はイタリア人監督が前日会見で全く触れなかった三笘薫の故障の詳細を少しでもつかもうと、2月28日、ウルヴァーハンンプトンとのFA杯5回戦に出かけて行った。


 ところが、普段はフレンドリーなブライトンの広報がこの件となると完全に沈黙した。試合後の会見で監督に質問したいと告げると、「それは(デ・ゼルビが)喜ばないだろう。例えばカオルの代役を誰にするべきかとか、そういう視点で原稿を作ってくれないか」と言われた。


 しかしそれでは正直記事にはならない。「日本のサッカー・ファンは三笘の怪我の詳しい状態を知りたがっている」と食い下がると、「とにかく現状で言えるのは、手術はないということくらいだ」と言われ、にべもなく話を打ち切られてしまった。


 もちろんクラブが所属選手の怪我について話すのを嫌がるのは分かる。特にエースの三笘の怪我ならなおさらだ。しかし今季絶望の重傷というのなら、通常、ある程度は詳細を明かすものだ。どうしてそうしないのか? 思った以上に重傷なのか? 今回のブライトン広報の沈黙には釈然としない思いが募った。


 けれどもこのまま帰っては仕事にならない。会見で「怪我の原因は分かっているのか?」と質問した。「日本中がショックを受けている」とデ・ゼルビ監督に伝えると、「信じてくれ、私の方がもっとショックを受けている」と44歳闘将が返答してきた。そして「怪我の原因はシェフィールド・ユナイテッド戦の反則タックルではない。それは間違いない」と話して、2月18日に行われたアウェーのリーグ戦で、敵DFメイソン・ホルゲートが一発退場となった悪質な反則タックルが“腰の痛みを誘発したのではない”と断言したが、ここでも怪我の内容について語ることはなかった。


 しかしその一方でイタリア人指揮官は、「今季が始まる時点では、右に(ソリー・)マーチ、そして左は三笘という構想だった。この2人のウインガーが頼みの綱だった。しかし今は両選手とも失った」と語ると、「もちろん2カ月で完治して帰って来てほしい。そしてシーズン終盤の1~2試合だけでもプレーをしてほしい」と続けて、エースがいないチームに対する失望に耐えかねたかのように三笘の早期復帰を熱望した。


 最後に、3月4日のシェフィールド・U戦でもベンチ外となったアーセナルの冨安健洋だが、復帰はかなり近そうだ。一部の英メディアがこの試合で復帰もあると伝えていたが、日本代表DFの名前はチームシートになし。6-0大勝を飾り、首位リバプールとの勝ち点差を2ポイントに保ち、ご機嫌だったミケル・アルテタ監督は、最後の質問者が日本代表DFの不在に不満顔をした筆者だと分かると、こちらが言葉を発する前に「トミヤス!!」と声を張った。


 そして「もう本当に復帰はすぐそこだ」と笑顔で話して、週末のブレントフォード戦(3月9日)にも復帰できると示唆すると、筆者はリバプール、マンチェスター・Cとの三つ巴の優勝争いの構図をしっかりと保った小雨のシェフィールドをあとにした。