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 2024/03/31 14:30

荒木遼太郎の進化。FC東京での新たな挑戦


FC東京で鮮烈なスタートを切り、代表復帰を果たした2024シーズン

FC東京で鮮烈なスタートを切り、代表復帰を果たした2024シーズン


 2年の時を経て、パリ五輪世代の日本代表に再び名を連ねる荒木遼太郎。U-23日本代表を指揮する大岩剛監督は3月15日の発表会見において、「FC東京で見せているパフォーマンスが代表チームにも反映されれば、大きな力になる」と期待を表した。約2年ぶりの代表復帰というが、果たしてこれは「復帰」というべきか、あるいは「復活」と呼ぶべきだろうか。


 絶大な期待を背負い、10代で圧倒的な成績を収めた荒木だが、その後、怪我と戦いながら数多くの試合を棒に振り、逆風を受け続けた。鹿島アントラーズ時代の煌めきを振り払い、どうやって再びスポットライトを浴びるようになったのだろう。


 2024年、FC東京への大きな転機を迎え、荒木はリスタートを切った。これまでの道のりを振り返った荒木の心には、「復帰」も「復活」も当てはまらない、固有の信念が息づいている。(インタビュー日:3月12日)



「復活」のレッテルに違和感


鹿島アントラーズ時代は10代ながら2ケタゴールを達成し、輝かしい成績を収めた

鹿島アントラーズ時代は10代ながら2ケタゴールを達成し、輝かしい成績を収めた



開幕まもなくして3ゴールを挙げる。FC東京への移籍に際し、「出場機会さえあれば成果を出す自信がある」と公言していましたが、言葉通りの立ち上がりでしたね。周囲からは「完全復活」との声も聞こえてくると思いますが?


 周りからは確かに「完全復活」と言われることもありますが、正直なところ、その言葉が苦手ですね。試合に出れば自分なりに活躍できるという自信はあったんです。ただ、出場機会がない期間が続く中で、ある意味仕方がないのかもしれません。しかし、今シーズンの自分のパフォーマンスを通して、その期待に応えられているのかなと思います。



自分のプレーへの自信と外からの評価とのギャップを感じていたんですね。


 そうですね、自分ではまだ見せていないと感じていましたし、今後ももっとできると常に思っています。



その自信について教えてください。東福岡高校から鹿島アントラーズへの加入時、内田篤人以来のデビューを飾り、2年目にはさらに快進撃を見せました。初期の成功があなたの自信の源ですか?


 初期の成功は大きな自信になりましたし、自分にはまだ伸びしろがあると信じていました。



プロとしてのチャンスをものにしようという意志は、始めから持っていましたか?


 いや、実際にはプロと高校サッカーのレベル差に驚いていました。プロの世界については何も分からない状態からスタートしたので、とにかくぶつかってみるしかないと思い、自分のプレーを最大限に出し、ひたむきに取り組んできました。



「プロとしてもやれる」と感じたのはいつでしたか?


 試合経験を積んで自信がついていったんですが、ミスをすれば自分で取り返せばいいと割り切りました。当初はミスに対する周囲からの指摘もありましたが、それを自分で取り返し始めたところ、だんだんと言われなくなったんです。ミスから即座に修正する力を持っていれば、どんどんチャレンジできるという心持ちに変わっていきましたね。



鹿島に経験豊富な先輩や指導者がたくさんいたと思います。そこでの取り組みやアドバイスがプラスになっているんじゃないかと思います。


 勝利に対するメンタリティなど、学ぶものは本当に多かったですね。日々の練習でもちょっとした球際の部分やミニゲームでも勝利へのこだわりはすごかった。最初に鹿島に入って良かったと思う部分は大きかったです。



もともと荒木選手はかなりの負けず嫌いだったと聞いていますが、それでも驚いた部分があった。


 勝利への執念がめちゃくちゃ強かったんです。遊びのようなゲームでも、ちゃんと本気になるし。その中でも自分は同期の存在が大きかった。染野(唯月)、松村(優太)、山田(大樹)が同期なんですけど、みんな1年目から試合に出て活躍していたので、「同期には負けたくない」って気持ちが強かった。そこでお互いに切磋琢磨しながらやれたことが自分を成長させてくれたかなと思います。



鹿島での成長と苦悩


2023年3月、ヘルニアを乗り越えて復活弾で勝利を導くと試合後に鈴木優磨から肩車で祝福された

2023年3月、ヘルニアを乗り越えて復活弾で勝利を導くと試合後に鈴木優磨から肩車で祝福された



鹿島の選手は伝統的に練習が厳しいですが、試合になると若手に伸び伸びプレーさせている印象があります。


 正直、鹿島では試合よりも練習のほうがきつかったんですよね。フィジカル的にもメンタル的にも。プロ入りしてすぐのプレシーズンマッチとか開幕戦に出て思ったんですけど、「なんか試合のほうが楽だな」って。それが鹿島だし、それだけ練習から激しくやっている証拠なんだと思いました。プロ入り前から少し聞いてはいたんですが、実感としてはあまり分かっていなかったんです。実際にチームで練習して、試合になったときに結構感じることは多かったですね。



鹿島で学んできた部分も含めて、荒木選手が勝つために必要だと思うことは?


 もちろん一人ひとりが自分の仕事を徹底することは大事なんですけど、その中で大事になるのは集中力だと思います。90分間を通して絶対に必要になってくるものだし、本当に一瞬でも気を抜けないのがサッカーなので。ピッチに立っている11人のうち、誰か一人でも気を抜いたら、そこから失点することもありますからね。



集中力をキープできる工夫、秘訣はありますか?


 常に考えることを止めないようにはしていますね。常に考えていたら危険な場面が分かるし、チャンスになりそうな展開も見える。そうしたら次に体を動かせばいいんで、フィジカル的に厳しいときこそ頭を動かすようにしています。



鹿島で結果を出せたのは、プロ入り後に成長したからなのか、それとも自分の実力を発揮できたからなのでしょうか。


 やっぱり鹿島の環境があったからだと思います。さっきも言ったように、試合のほうが楽に感じたのは大きかったです。



その後はケガもあって、自分のイメージとは違った時期を過ごすことになってしまいました。あまり思い出したくないかもしれないですけど、どんな思いで過ごしていたのでしょう。


 プロ3年目はヘルニアでサッカーができなくて、復帰しても違和感が残っていたので、自分の中では「仕方がない」と割り切るようにはしていました。でも、昨年は痛みが取れてコンディション的には問題がなかったんですよ。ただ、監督のサッカーにフィットしきれなかった。その中で自分のやるべきことはやっていたとは思っています。



そこでポジティブに捉えて成長しようとトライした?


 いや……正直に言うと、めちゃくちゃネガティブになってました。でも、そこで周りの先輩たちが常に声を掛けてくれたんです。その声掛けで自分を保つことができた。もしそれがなかったらもっともっとひどい状況になっていたと思います。(鈴木)優磨くん、(広瀬)陸斗くんとかが「誰にも難しい時期はある。そういう時期こそが大事だ」という感じで、言葉をもらったというより練習以外のトレーニングに強制的に誘ってくれたんですよ。最初はちょっと嫌だったんですけど(苦笑)、でも今考えると、そういうトレーニングができて良かったと思います。練習前のジョギングも含めて、練習に対する準備をかなり教えてもらいました。



その2年間は結果を見ると苦しかったけれど、先輩から学んだものが今の自分につながっていると。


 そうですね。毎日の練習に臨むための体作りが大事だと思うようになりました。それが今も「どうしたら次の日にもっといいパフォーマンスを出せるか」とか「いい目覚めでトレーニングを迎えるか」という取り組みは続けているんで。そこは結構大きかったかなと思っています。



もともとストイックなタイプだった?


 いや、全然ストイックじゃなかったし、今も自分ではストイックじゃないと思うんですけど、ちゃんと8時間寝ても起きた時に眠さが残ったりすることがあると、それが嫌だなって思っちゃうタイプなんですよ。そういうところから練習に対する意識が変わっていったので、それがストイックなのかどうかは分からないですけど、少しずつストイックになってきたのかもしれないですね。今は本当にいいサイクルで回っていると思うし、自分の中でも定まってきたような感じがして。練習にも試合にもいい形で取り組めているようになってきました。でも、もっと活躍するためには普段の過ごし方からもっとやらなきゃいけないと思います。



“アンチ”を黙らせてやるという覚悟


自分自身にプレッシャーを与えることで成長してきた荒木。今はピッチで躍動できることが楽しくて仕方がないという

自分自身にプレッシャーを与えることで成長してきた荒木。今はピッチで躍動できることが楽しくて仕方がないという



「環境を変えたい」という想いで鹿島からの移籍を決断しました。この決断を改めてどう捉えていますか?


 いろいろな状況があって難しい決断でしたけど、自分が決めたことなので。その決断が良かったと思えるような結果にしたいと思って東京に来ましたし、自分にも東京にもプラスできるように結果を残していきたいですね。



東京に来てからのコメントを聞いていると、自信があるけど、決して過信ではないという印象を受けます。その自信はどこから来るんでしょう。


 自分のことを大きく見すぎているのかもしれないですけど、そのくらい自分にプレッシャーを与えたほうが力を出せると思っているところはありますね。自分では分からないですけど、めちゃくちゃ自信はありました(笑)。それに周りから「口だけ」とか言われることもあって、だからこそ「やってやろう」という気持ちが湧いてきて、それもすべて逆にプラスになりました。結構“アンチ”がいたので、そういう批判を「絶対に黙らせてやる」くらいの気持ちでやれたのが、自分的には大きかったですね。



今年はパリ五輪があります。


 そこは本当に「選ばれたらいいな」というくらいの感覚ですね。正直、全然意識していないし、今は2年間溜まっていたものをピッチの上で出せていることが楽しくて仕方がないんで。でも、呼んでもらえたら自分のプレーは出せると思うし、代表でプレーしたいと思うところはちょっとありますし、楽しみだなとは思っています。



ここから何を追求していきたいですか?


 やっぱりチームとしても自分個人も結果にこだわりたいですね。自分がゴールを決めるのもそうですけど、しっかり守らなければ勝てない。やっぱりまずはチームが勝つことが大事だと思うんで。その中で自分も結果を残しながらチームを勝たせたい。いま、本当にサッカーが最高に楽しいんですよ。なので、もっともっといろいろなプレーを出して見せていけたらと思っています。



4月には浦和レッズ、鹿島アントラーズとの国立2連戦があります。まず浦和レッズの印象はいかがですか?


 試合も見ましたし、開幕直前にも練習試合をして、結構いいチームだなと思いました。完成したら怖いなという印象ですね。浦和がここからどんな変化とか対策を練ってくるかという部分もあるので、実際に試合が始まって相手がどう出てくるかを見ながら臨機応変に対応することが必要になるかなと思います。



鹿島戦には期限付き移籍契約の関係で出場できませんが、鹿島に勝つためのポイントは?


 まずは90分通しての集中力ですよね。それにキーマンが一人じゃないところ。FWは優磨くんだけじゃなくて、新しく入った外国籍選手もいい選手だと思いますし。



鈴木選手は味方にしたら心強い一方、相手にしたら非常に嫌な選手だと思います。彼を抑えることが勝利につながると思いますが、チームメートに伝えられることもあるんじゃないですか?


 そうですね。厄介ですね(笑)。近かったからこそ知っていることもたくさんあるので、試合が近づいたらうまくチームに伝えたいと思います。ただ、鹿島も監督が代わって状況が大きく変化していると思うので、そんなに伝えられることはないかもしれないですけど。



国立でのプレーは?


 大観衆の中でプレーするのは好きなので、気持ちは上がりますね。ピッチで素晴らしいゲームを見せて、その上で勝ちたい。チームとしてもここで勝てれば勢いも自信もつくと思うし、大事な2試合になると思う。個人的には多くの人に見てもらえる機会にもなると思うので、とにかく結果にこだわって戦いたいと思います。