日本代表の挽回へのスタートを切る ― 北朝鮮との対戦で取り戻された「闘志」とは?
ゲーム開始早々の田中碧のゴールが完璧な起動に繋がり、勝利への重要な一歩となった。
日本サッカー代表は再び戦列に戻った。アジアカップでの残念な敗退から約1ヶ月が経過し、W杯アジア2次予選で北朝鮮代表と対戦。選手たちはカタールでの苦杯を噛みしめ、成長への意欲を更に燃やして集結し、そこに新たなる進展が見られたかが問われた瞬間であった。
長友佑都、アジアカップ敗退の要因に言及
ピッチ内でのプレイタイムはなかったが、ベンチから絶えず指示を出しチームの為に全力を尽くす姿は長友佑都の変わらぬ影響力を見せつけた。
北中米W杯アジア2次予選が再び開催され、日本代表は過去の対戦である北朝鮮代表に対して1-0で勝利を収めている。
昨年の11月に一旦活動を停止していた間、今年の1月から2月にかけてアジアカップが進行し、日本はイランとの対戦で敗北し、残酷な準々決勝敗退を喫した。その痛恨の敗退からの教訓を生かし、21日の北朝鮮代表との試合では改善と結果の具現化が主要なテーマとなっていた。
アジアカップの挫折は、カタールで戦うことができなかった選手たちにも心に突き刺さるものであった。彼らも一致団結し、懸念を乗り越え新たな出発を誓った。長期間日本代表から離れていた長友佑都もこの戦いへの熱意を新たにしていた。合宿で最初のインタビューに際し、アジアカップの話題が出ると「リアルなパッション、闘気が感じられなかった。それまでは本当にチーム全体が生き生きと活気に満ちていて『この日本チームは強い』と感じていたんですが、アジアカップの時は真の闘気が欠けていた」と語った。
日本代表の「闘気不足」については、アジアカップの後多くの声が上がっていた。これが意味するのは、ただ単に勝つための熱心な求道だけでなく、相手に圧をかけて臨場感あるプレーの迫力、優れた戦術で相手を凌駕する実力、そして確固たる質を示してライバルを上回ることなど複数の側面が含まれている。
そこには、一つの面を向上させただけで「闘気」が宿るわけではないという複雑な課題が存在している。しかしテレビを通じて感じることのできるピッチ上の動きや選手たちの微妙な変化を感じ取る長友からの視点は価値がある。さらに彼が直後に続けて述べた言葉、「どの部分が影響しているのかは分からないけれど、一つの小さな歯車の動きが全体を変えてしまうことがある。だから、歯車が適切に機能しなければ、アジアの舞台でも難易度が高まる」という見解は、今後の展開を予測する上で注目すべきものだ。
日本代表の序盤攻勢
対北朝鮮戦で展開されたのは、日本代表の現状と直面する課題を見極める試金石のような90分でした。そして時は証明することになるが、正確にかみ合った「歯車」が再度その動きを見せ、チームが着実に前へと進んだと言って良いでしょう。
試合の初始めに日本代表は攻勢をかけました。相手のゲーム開始と共に、前線から積極的にプレッシャーをかけることでボールを奪うことに成功し、短いカウンターを何度も仕掛けました。これらの一連の動きが田中碧の先制ゴールに繋がりました。
積極的にゴールに迫る姿勢やセカンドボールを確実にキャッチする集中力、そしてペナルティエリア内での田中の高い意識。これらは全て、試合開始からハイテンポでプレーするという日本代表の戦略が功を奏した結果でした。特に先発の左ウイング、前田大然も「対戦相手も負けじとアグレッシブに来るが、それを受けて立つだけではアジアカップの時のようになってしまう。最初から攻めの姿勢を見せることができた」と手応えを感じていたことを語ります。
序盤のリードを保った日本代表は、試合をコントロールし続けました。対する北朝鮮代表はロングボールを多用してカウンターを狙いました。色は異なるものの、あのアジアカップの悪夢を連想させるものがありました。北朝鮮の攻撃は縦に速く、手早くゴールを狙う鋭さがありました。それはあたかも「ミニ・イラン戦」を彷彿とさせるものだったのです。
しかし、その時と同じ過ちを繰り返すことはない。繰り返し飛んでくるロングボールにも屈せず、しっかりと跳ね返し、相手に優位を許しませんでした。北朝鮮は過去の日本代表の敗戦を徹底分析していたことでしょうが、日本は同じ轍を踏むことはありませんでした。日本は手綱を固く握り、追加点は取れなかったにせよ、前半は辛抱強く相手の隙を伺い続けました。
後半戦になり北朝鮮は選手交代を活用してより攻撃的になりました。もし「闘気」が欠けたチームであれば、逆風に押され主導権を手放してしまっていただろう。しかしこの変化はある程度予測可能でした。
昨年11月のシリアとのアジア予選初戦で守りを固めていた北朝鮮は、そのゲームの後半で見違えるほど攻撃的に変貌しました。彼らは勢いよくボールを所持し、相手を押し込む展開に切り替えていきました。
後半始まってすぐ、日本のゴールは一瞬揺れました。北朝鮮のGKカン・ジュヒョクからの長いフィードを始点にした攻撃で、日本は数回ボールを拾われそのこぼれ球がゴールに。しかし、その前に発せられたファウルにより得点は認められませんでしたが、その場面は日本にとって一抹の不安を残すものでした。しかしながら、実際のところ、これが失点に繋がるようなピンチはこの1度きりでした。もし追いつかれていたらその後のゲームは変わっていたことでしょうが、それ以降の日本代表は落ち着いたプレーを保ちました。
選手交替が拓いた勝利の方向性
ピッチへの途中参加で力強いプレーを見せた橋岡大樹。彼の登場と変わった陣形は、監督森保一からのはっきりとした方針の表れだった。
特筆すべきは、選手交替を通じたゲームの流れの変貌である。この日の試合において、監督森保一は交替カードを駆使し、ピッチ上での大事なメッセージを伝える手腕を発揮。まずは58分に守田英正を遠藤航へチェンジし、形を明瞭な4-1-4-1へと移行させ、選手たちに明確な任務を与えた。
その後、北朝鮮代表に圧倒されがちな状況が続いたが、第74分には一斉に3人の選手を入れ替える動きへ。堂安律、南野拓実、菅原由勢を引き上げ、代わりに谷口彰悟、浅野拓磨、橋岡大樹をピッチへ送り出す。この交代により、陣容は4-1-4-1から5-4-1へと変化し、防御を厚くするための戦術的な判断が見て取れた。
終盤の15分に右ウィングバックのポジションで登場した橋岡は、「後半に苦しい局面が多々あった中で、5バックに変更するのは守備の強化が意図されているのだと理解しました」と振り返る。それでも彼は、「攻撃を止めることなく、チャンスがあればどんどん攻め、守備面では持ち味を活かして堅守を固めようと考えていました」と、攻守両面で自身の役割を果たしたことを強調した。
「ピッチに立つことになった難しい状況下で、長友さんからは『どんどんチャレンジしろ』との助言をもらっていたので、ボールを持った際には迷わず前へと進むことを心がけていました」と述べた橋岡は、より直向きな姿勢でプレイを展開した。
無失点で逃げ切る戦略の下、オフェンスの機会も窺う選手たち。81分に上田綺世を小川航基へと交替し、前線の一新を図った指揮官の「さらなる得点狙い」という狙いは透けて見てとれた。
試合は終わってみれば、1-0の最小差での勝利だった。選手たちの多くが「あの時点で決めておけばよかった」と口にしていたが、それでも、少ない情報に基づいた状況でタフに戦いを挑んでくる相手に対しても、常に先手を打ちながら勝利を手にすることができたのは見事な成果だった。失点のない試合が一度もなかったアジアカップと比較すると、この日の安定感は際立っていた。
この日のゲームキャプテンを務めた板倉滉は、「特に後半に厳しいタイムになると、通常はラインを下げ守りを固めるものですが、5バックへの移行はあえてプレッシャーをかけさせる意志も感じました。そのおかげで守備陣は落ち着いて対応できており、実際に前半は(敵のロングボールの)出どころを見事に封じ込めてくれました。だからこそ、全体的に1試合を通した締め方に手応えを感じ、次に進むことを願っています」と、終始管理されたゲーム運びに彼自身も満足感を示していたようだ。
歯車が再び嚙み合う兆し
ゲームキャプテンを努め上げた板倉滉。アジアカップでの不振を払拭し、空中戦での優位を取り戻し、守備の要としてチームの無失点に貢献。
この試合では何よりも勝利が求められていた。W杯への道を築くうえで、そしてサムライブルーが依然として力強く存在していることを証明するうえで、スコアは二の次としても、勝つことが何よりも優先された。その強い決意は確かにチーム全員が共有していた。
板倉は「日本へ戻り、この困難な状況を乗り越えなければ、そして日本代表をより強固なものにしなければならないと感じていました。今日、キャプテンマークを巻かせていただく中で、個人のプレイは二の次、チームが勝てばそれで良いという思いで臨みました。結果として3ポイントを獲得したことは良かったと思います」と話す。
アジアカップで本来の力を出しきれなかった菅原由勢も、「試合を見返せば改善点は明らかだし、もう一段とレベルアップして効率的な攻撃を繰り出せたのではないか、攻撃に参加できたのではないかと考えています。しかし、今日勝利を収めることができたのが一番の収穫です」と、批判を受けても勝ち点3の価値を強調している。
限られた時間での準備は十分に行われたと感じている。アジアカップ当時とは異なり練習の機会が少ない中でも、「様々な議論を交わし、取り組みを重ねることができた」と菅原は言及する。若き23歳の彼の瞳は、将来への確信に満ちていた。
しかし、まだ課題が全て解消されたわけではない。他の多くの選手たちと同様に、菅原も試合内容には改善が必要だと認識している。それでもアジアカップで経験した屈辱を越え、森保一監督のもとで日本代表が前へと進むことは確かに認められる。
1試合ですべてが変わるわけではなく、一気に進化するわけでもない。それはもちろんだが、前向きな一歩を踏み出せたことは北朝鮮戦における大きな成果である。歯車が再度動き始めたことは確かで、途絶えかけた森保ジャパンの勝利への道がしっかりと再び結ばれたことを感じ取ることができた。また、アジアの闘いにおいて相手を凌駕しようとする果敢な姿勢も垣間見ることができた。