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 2024/05/06 00:00

カタールとの決定戦、求められる大岩ジャパンの集中力と全員の連携


大一番。大岩監督は戦いを「11対11を超えた23対23の勝負」と捉えている

大一番。大岩監督は戦いを「11対11を超えた23対23の勝負」と捉えている



大会の山場、準々決勝への舞台設定


 AFC U23アジアカップが、いよいよその頂点を極める時へと差し掛かっている。


 4月25日から4強を目指す準々決勝が始まり、これはパリ五輪へのアジア枠が「3.5」と限られていることを踏まえれば、最も重要な一戦と言える。準々決勝を制すれば、それだけで五輪出場への可能性が三度与えられるのだ。対アフリカ4位のギニアとの大陸間プレーオフ権を含む。


 開催国カタールの舵取りをするイリディオ・ヴァーレ監督は、この大会の性質を「五輪出場を懸けた戦い」と位置づけ、「そのためにこの一戦が重要」と力説している。だからこそ、この準々決勝こそが実質上のクライマックスとなるのである。


 ヴァーレ監督は日本チームについても言及し、「日本はアジアの中でも特に強力な代表である。私たちは彼らの力、それが個々の技か集団力かを十分理解している」と評価。


 報道陣による日本軽視の風潮に対し、イリディオ・ヴァーレ監督は冷静さを保ち、「日本は強い」という点を再三にわたり強調していた。カタールがかつてA代表レベルでアジアカップの頂点に立ったことは、「今は無関係」と語り、現戦に向けた準備の徹底を誓っていた。


 カタールは予選最終戦でオーストラリアと引き分け(0-0)、主力選手のエネルギーをセーブして準備万端でこの戦いに望んでいる。イリディオ・ヴァーレ監督は熟練のA代表FWアフメド・アルラウィの復帰さえほのめかしており、力の整合性を高めてきていると見受けられる。


 ただ、カタールチームのこれまでのパフォーマンスを冷静に分析すると、圧倒的な強さは感じられない。スタジアムを埋め尽くす大観衆や「完全アウェイ」と言われる環境が煽られることもあるが、特別な熱狂があるわけでもない。大岩監督自らも日本のサポーター陣営の存在を「心強い」と言及しており、恐縮する必要はなさそうだ(これで「完全アウェイ」とは言えないだろう!)。


「『完全アウェイ』という認識もありますが、それは我々には変えられない点。集中して試合に臨むことが最も大切です」と語る大岩監督の見解は、妥当な判断と言える。



次なる戦いへの全集中


記者会見に応じる大岩監督(左)と藤田主将の図

記者会見に応じる大岩監督(左)と藤田主将の図


 連戦のコンディション管理が求められるトーナメントを進んでいるが、「まずはこの試合に全てを傾けたい」と大岩監督は注力を呼びかけている。即座に先のことを語るグループステージとは対照的に、現在の戦いに照準を絞る意向が随所に感じられる。


 グループステージ最後の対決となった日韓戦では、次戦を見据えて戦力をセーブしつつの挑戦となり、最終的には1点差の敗北を喫した。勿論、控え選手を主軸に据えた戦術も勝利への確信があってのことだったものの、それ以上に準々決勝へと繋がる「クライマックス」に向けて力を温存する戦略が見受けられた。


 そのために、「体力面においては全く問題がない」という自信に満ちた選手陣が揃っている。次の試合では日韓戦で控えに留まった主力が先発する可能性が高く、大きなメンバー変更が伺える。大岩監督のもとで、その時点での最適な力を前面に出す構成が予想される。


 さらに、ベンチ入りする選手も第3ゴールキーパーの山田大樹(鹿島)を含め、ほとんど全員が既にこの大会のピッチを踏んでおり、通常であれば大胆な戦略での起用となりかねないが、このチームではそれが資産となる。交代カードとしての大岩監督が言う「ゲームチェンジャー」を活かした戦略展開が可能なのだ。


 カタールが狙ってくるカウンター攻撃への準備もありつつ、日本がボールを握る期間も長くなるだろうと想像されている。MF松木玖生(FC東京)も「できるだけ早い段階で先制点を決めたい」という意気込みを示している。


 理想としては、昨年のアジア競技大会での初戦のようにゲーム開始早々にリードを奪って試合のペースを掌握すること。程よい展開にてこ入れしつつも、慎重ながらも積極的なプレーが至上命題となる。日韓戦のように出足を鈍らせないことが、何よりの教訓となるだろう。


「予期せぬ展開が起こりうる」と大岩監督が言及する通り、カタールが取りうる仕掛けや戦術変更など未知の要素も含め、その都度のチームとしての対処も重視される。さらに、ベンチワークを含めた瞬発力と状況判断が、この先の攻防を左右する重要なファクターになると思われる。



代表選手にかかる心理的重圧


「プレッシャーを感じない」と胸を張る松木(左)と共に期待の重圧を担う

「プレッシャーを感じない」と胸を張る松木(左)と共に期待の重圧を担う


日本代表が直面するアジア予選の精神的圧力は、どこか別の重さが感じられる。


一敗すれば退場の厳しい事実を前に、選手たちは可否応なくプレッシャーを感じざるを得ない状況にある。


いつも通りの余裕を見せるキャプテン、MF藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)も、「どうしても緊張感を無視できないだろう」と自身の心情を吐露している。


日韓戦の失点による敗北は、SNSで見られる厳しい批判やこき下ろしに選手たちのメンタルもかなり打撃を受けてしまった。しかし、試合前夜、選手たちはチームオンリーの集まりを持った。


「世間の批判を超えて、23人の選手とスタッフだけが真のチームメイトという事実を再確認した」とDF内野貴史(デュッセルドルフ)が言うように、選手同士が支え合う団結の力を見出している。


「なぜ選手としての人生で最も大切な舞台か」と問われたら、多くの選手が代表の場をそう捉えており、迷い込んだ心の小径からの脱却を図ったのも事実だ。「何気ない会話の中で」(内野貴史)、ストレスを発散し「気持ちが軽くなった」とMF佐藤恵允(ブレーメン)は振り返る。


現代の立場にある選手には、否定的な意見や揶揄も簡単に耳に入る。その中で不利な影響を受けることもある。それでも、これは避けて通れない経験値となる。


つまり、このような圧力の中にあっても負けないことを証明できるのは、今ここで戦う23人の日本代表だけである。つまり、この重圧を超越する成長もまた彼らにのみ許されるものである。


FW藤尾翔太(町田)は「確かにプレッシャーは感じるけど、楽しむ気持ちを忘れずにいればいいプレーができる」とポジティブな視点で捉え、「注目の中心に立ち、チームにとっても自分にとっても良い結果を出すことができればそれに越したことはない」と期待を込めて笑顔を見せた。


「普段の大学サッカーでは得られない注目をバネに、どこかうれしさすら感じる」と、少々自由奔放な言葉を残したのはFW内野航太郎(筑波大学)で、「成功すればすべてが好転する」と前向きにゴールを目指す心意気を見せた。


「平常心を保ちつつ、これまで培ってきたパフォーマンスを出すことがカギ」と語る松木は、「プレッシャーは感じていない」と断言した。記者が「負けが許されないが?」と詰め寄ると、即座に「その考えは持ちません。勝ち進むのみ」と返答。


この流れで「一発勝負の強さ」について松木玖生に追及してみると、「実際に見届ければ理解してもらえるでしょう」と胸を張り、「得点を挙げる自信がある」と力強く話した。


負けから立ち返ることにおけるネガティブな空気感は、チーム内では払拭される傾向にある。


大舞台に立つことで、最初に克服すべきは自分自身である。ただし、必ずしも単独での克服が必要なわけではない。大岩監督は「23人全員で戦う」と繰り返し表しており、これが信念に基づく力強さへと繋がっていく。


勝利し、パリ五輪へと大きく前進するために。日本時間25日23時に、日本代表チームは歴史的な大決戦に臨む。