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 2024/05/05 00:09

中国戦での10人の不利を跳ね返し、パリ五輪へと繋げるスタートを切る日本代表―「全員がキャプテン」となって


松木の初得点はチームに勢いをもたらしたものの、日本チームは意外な展開によって一気に不利な状況に追い込まれる。

松木の初得点はチームに勢いをもたらしたものの、日本チームは意外な展開によって一気に不利な状況に追い込まれる。



驚くべき先制点、想定外の退場―すべては「未知の可能性を想定する」ことから始まる


サッカー界では、「予想できないことへの対応を常に意識する」というのは、よく聞く指摘です。22人の選手と審判が織りなす予測不能の試合展開に柔軟に適応する能力が求められるのです。


しかし、実際にはそう簡単にはいきません。特に結束が求められる国代表チームでは、突如として降りかかるトラブルへの対応がさらに困難です。


4月16日、AFC U23アジアカップでの初戦に挑んだU-23日本代表は、そのような窮地に立たされました。


U-23中国代表との対戦では、日本は開始から既にリズムをつかんでいました。日本代表は控えめな相手を圧倒し、試合が始まってわずか8分でMF山田楓喜(東京V)の絶妙なクロスを、DFの間をすり抜けたMF松木玖生(FC東京)が左足できっちりと決めました。これは「練習した通りの展開」と松木が語った通り、先制点でさらなる勢いをつけたのです。


しかし、それから間もなく前半17分に、DF西尾隆矢(C大阪)がVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)を利用された結果、主審から見えていなかった他のプレイヤーへのファウルが発覚。退場処分を受け、試合序盤にして日本は10人での戦いを余儀なくされました。



“想定済みの”想定外への迅速な対応


チームの防衛線を担う西尾の退場は、予期せぬ事態でしたが、対策は万全でした。

チームの防衛線を担う西尾の退場は、予期せぬ事態でしたが、対策は万全でした。


守備の要となる西尾が退場した際、映像を見て試合の流れの中で早急な解決策を立てる準備はできていた。松木はすぐに大岩監督とコンサルトし、「新しいセンターバックと交代するまで、今は4-4-1で耐える」という状況を確認しました。最初は左ウイングの平河悠(町田)をサイドバックへ下げ、さらにサイドバックだった内野貴史(デュッセルドルフ)をセンターバックに配置しようとしましたが、「相手が右サイドに身体の大きな選手を配置していることから、自分の方が適している」と松木自ら判断し、左サイドバックに自ら志願しました。この結果、内野貴史を右サイドバックに移動させ、右サイドの関根大輝(柏)がセンターバックへの移動を行いました。


通常、ポジション変更はなるべく最小限にするのが望ましいですが、関根には以前からセンターバックとしての経験も豊富であり、高身長を活かせる選手です。松木も左サイドバックとしての経験を持ちつつ、競り合いには自信があります。内野貴史が本来位置するポジションに移動したことで、選手たちの適正を十分に考慮した適切な配置転換となりました。


「選手たちは監督の指示を待たずに、自らフィールドで話し合い、対応策を迅速に決定した。これは選手たちの評価に値します」と大岩監督は述べました。


その後、チームは防衛ラインを固めるために、センターバックの控えである木村誠二(鳥栖)を投入。松木はボランチへと配置を変え、なんとか防衛体制を取ることに成功しました。


しかし、その後の時間帯が最も苦しいものでした。関根が「前半は少なからず動揺があって、気が引けてしまいライン隊形を整えるのが難しくなる局面が多かった」と正直に振り返っています。その結果、相手選手にプレッシャーをかけることができず、容易にシュートやクロスを許してしまいました。しかしGK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)の優れた守りによって何とか持ちこたえ、前向きな展開には至らなかったものの、辛うじて耐えました。


さらに、「前日のセットプレーの練習で、もし10人になった場合のフォーメーションも確認していた」と松木が語る通り、セットプレーの守備での混乱はありませんでした。そして、この確実な防衛が試合をゼロ点に抑える一因となりました。


「セットプレーの練習だけでなく、実際のプレーの中で『もし10人になったらどうするか』という話はミーティングでも触れていました。想定外の事態が起きてしまうとは考えていませんでしたが、完全に想定外なわけではありませんでした」と関根は述べました。



力強く勝利を掴んだ勝点3


チームの危機を幾度となく救った小久保のファインプレー

チームの危機を幾度となく救った小久保のファインプレー


 ハーフタイムのロッカールームは活気に満ちていた。「キャプテンのような雰囲気で」と関根が微笑ましく回想するように、選手たちは積極的に意見を出し合い、「本当に会話が絶えなかった」(関根)と語る。


まず最初に認識を一致させたのは「1-0というリードを保っている」という事実です。守りに守ってそのまま時間を消耗するだけでも問題なし。落ち着いて対処するべきで、焦るべきは相手側だ。当然と思われるこの基本でも、負け試合のプレッシャーの中では忘れがちになるもの。そうした心理的な落ち着きも含め、全選手が再度共有した。


ゲームの面では、相手のボール保持者へのプレッシャーがかかっていなかった点を重点修正しました。指導からの指示と選手たちの問題意識が一致し、すぐに意思の統合がなされたと言える。


後半の幕開けとなった大きなピンチでも、「落ち着いてくれた」と小久保が見事なセーブで左手を伸ばし切った。相手に試合の流れが傾きそうな局面もあったが、そうした局面を制御することで後半はボールを支配されることは増えたものの、試合内容は前半に比べて明らかに向上していた。


大岩監督は後半22分にわたって、両サイドハーフの位置を入れ替える策を取り入れ、馬力を誇る藤尾翔太(町田)と佐藤恵允(ブレーメン)を両翼に配置。この2人は競り合いが強く、独力でもボールを運ぶことができるだけでなく、防御もできる力を持っており、疲れていた選手たちに新たなエネルギーを注入した。


最後は、中盤へ手を加えるか否か悩んだ結果、左SBを本職とするセンターバックの鈴木海音(磐田)にし、前線で疲労が見られた細谷真大(柏)に代わって、セットプレーの際の空中戦を支配する長身FWの内野航太郎(筑波大)を投入し、逃げ切り戦略に舵を切った。これにより、チームは最後まで統一された意思を崩すことなく戦うことができた。


結果、スコアは1-0。10人という数的不利をものともせず、勝点3を力強く手にすることとなった。



監督と選手たちの準備と対応によるタフな勝点3の獲得


想定外の事態にも適切に対応し、逃げ切り戦略を見事に展開した大岩監督(左)

想定外の事態にも適切に対応し、逃げ切り戦略を見事に展開した大岩監督(左)


この試合に関しては、一見すると良かったとは言いがたい内容だったかもしれないし、ネガティブな見方をすることも容易いだろう。ただ、私はそのような感想に反論したい。


先に挙げたように、「先制点を取っていたこと」が何よりも重要だった。特に重点を置いた初戦では、攻守にわたる準備を徹底し、手ごたえのある立ち上がりで試合の主導権を握り、計画通りのプレーで先制ゴールを決定づけて見せた。


「退場処分後の流れ」が注目されがちな試合進行だったかもしれないが、この理想的なスタートによる「貯金」があったからこそ、退場者を出しても勝利を手にすることができたのだと強調しておきたい。


ハーフタイムを境に内容を改善できたことも評価に値する。「これが若い年代の威力である。このゲームを勝ち取ったのは大きな成果です」と松木が振り返るように、特殊な状況下の代表チームとして、こうした手強い試合を耐え抜く経験を全員で共有できたことの価値は計り知れない。


「チームの誰もが西尾隆矢くんのことを責めてはおらず、むしろ勝つことでメンタルも上向きになり、一層団結している」と松木は語った。


西尾の退場は確かに個人のミスではあるが、そのような過ちをチーム全員でフォローすることが、真の「チームワーク」である。未熟な選手もまだいるが、こうした試練を共に乗り越えることの重要性を見落とすべきではない。


無論、楽観的になるだけでは済まされない。「気持ちを新たにしなければならない」と述べたのは松木である。心理面だけでなく、肉体面での消耗も否定できない事実である。


次の試合は中2日で、19日にはUAEとの対決が控えている。


大岩監督は「次のゲームまでの時間は限られている。どの選手が体力面で戦えるのか。予定通りに進まないことを再確認した。全員が最善の準備を整えることが求められる」と述べ、フレッシュな選手の起用もほのめかしつつ、再び「全員でのチームワーク」でパリ五輪の切符を掴むべく挑む。