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 2024/05/09 11:21

「信じられないほどの緊張」を乗り越え、特別な絆を育んだ 大岩ジャパンがパリに向かうチケットを手にする


大岩ジャパンが「全員で勝利」の精神を具現化し、パリへの道を切り開く

大岩ジャパンが「全員で勝利」の精神を具現化し、パリへの道を切り開く



共に乗り越え、「一体」となる


 AFC U23アジアカップは現地時間4月29日、準決勝を迎えました。U-23日本代表の相手はU-23イラク代表でした。強敵であることに変わりはないが、「勝利すればオリンピック出場」という状況は、相応のプレッシャーを伴うものの、日本代表の選手たちは不思議と落ち着いているように見えました。


「プレッシャーを全然感じず、自分自身もですが、他の選手もとても堂々として戦いました」とはMF松木玖生(FC東京)の振り返りです。彼の言葉だけでは、説得力が足りないかもしれませんが、他の選手からも同様の声が聞かれました。


 キャプテンの藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)は、「(負ければ予選敗退だった準々決勝よりも)リラックスして試合に臨めたか」との質問に対し、「間違いなくそうです」と応え、「カタール戦では、全員が大きなプレッシャーを感じ、これまで経験したことのないような感覚を味わったと思います。その意味では、この試合では、もし負けても次があるという状況で、プレッシャーが少し軽減されたと思います」と述べ続けました。


 準々決勝とは異なり、この試合では、負けても3位決定戦で勝てばオリンピックの切符が得られるし、そこで敗れても、アフリカ第4代表ギニアとのプレーオフが控えています。当然、ここで勝って決めたいという意志はあるものの、感じるプレッシャーは異なっていたのでしょう。


 さらに、「試合前から信じられないほど緊張していた」とDF関根大輝(柏)が振り返った準々決勝を勝利して乗り越えた経験自体が、選手たちを強くする要因の一つでもあったでしょう。「カタール戦と比べれば」と関根が表現するように、この試合に臨む選手たちの心を相当軽くさせていたのです。


 乗り越えた経験は、個人の感覚だけでなく、全員が大きなプレッシャーに直面する中、互いに支え合い乗り越えたという感覚がチーム全体で共有され、チームの結束力は一段と高まりました。

 大岩剛監督も以前から話していた通り、「私たちスタッフが『一体感を持て』と言ってもそれが生まれるわけではない」と述べており、このようなエネルギーは選手自身から自然に生まれるものです。


 裏方スタッフの中にはアジアを制覇した経験のあるベテランもおり、選手たちを陰ながらサポートしていました。


 カタール戦を前に行われた選手たちだけのミーティングは、この準決勝を前に再度行われました。再度のミーティングを通じて、団結を再確認すると同時に、「(準々決勝に勝利し)少し緩んでいた雰囲気が改めて引き締まった」と関根は述べます。


「普段あまり話さない(高井)幸大(川崎F)や関根が話し、最終的には藤尾(翔太=町田)が『あのカタール戦の緊張感を二度と味わいたくない』と話し、みんなが納得しました」とMF山本理仁(シントトロイデン)は語ります。


 「負けても次がある」というのは、良い意味で心に余裕をもたらしますが、油断を引き起こす可能性もあります。このミーティングを通じ、そのバランスが絶妙な調整を見せたのです。


 準決勝前日、インタビューゾーンを後にしようとする藤田に、シンプルな質問を投げかけてみました。「良いチームになっている感覚はありますか?」と。


 直接的な目で返答してくれたのは以下の言葉です。


「はい、そう感じます。自分たちのサッカーをしっかりと展開すれば、結果を出せると思います」


 代表チームは奇妙な存在で、一時的に集められたチームであり、それぞれが強烈なプライドを持つ選手たちの集まりです。一般的に考えられるよりも、一つのチームにまとまるのは容易ではありません。しかし、この準決勝を前に、チームは確かに纏まっていました。



前半に記録された2ゴールで運命が動く


藤田(左)のパスは、イラクの計画を完全に破綻させた

藤田(左)のパスは、イラクの計画を完全に破綻させた


 準決勝前半、重圧を感じながらも日本は実に落ち着いた様子で試合に臨み、試合の流れをしっかりと自分たちの手中に収めました。


 日本のいくつかの状況が背後にあったが、イラク特有の事情も影響していました。当試合では、予想されていた通り、イラクは日本のために特別な配慮を施しました。彼らは通常の4-2-3-1フォーメーションを捨て、より守りを厚くする5-4-1に変更して挑んできました。


 日本に対する彼らの研究は明らかであり、特に右サイドには特別な警戒が敷かれ、日本の右ウイング山田楓喜(東京V)と右サイドバック関根大輝の強力なコンビネーションを封じ込めようとしました。


「かなり警戒されている実感がありましたね。敵は右に密集し、そこでのプレイを難しくさせられました」と関根は振り返ります。


 しかし、本来日本が攻撃の手段として意図的に右サイドを使っていたわけではありません。単に、有効な攻撃ルートがそこにあったから利用していただけのこと。


「イラクの守備配置は、中央を空けるフォーメーションだった」と早々に察知した藤田は、イラクの守備スタイルについてこう述べています。


「今まで対戦してきた相手チームは、中央を固めて外へ追いやる守備スタイルが多かったですが、イラクは力強くボールを奪いに来ていました。そのため、自分自身はフリーでボールを持てることが多々あったんです」


 慣れたフォーメーションからの変更にはリスクもありますが、中盤中央が手薄になったことで、松木玖生、藤田譲瑠チマ、そして荒木遼太郎(FC東京)のうち誰かがフリーになれる局面が頻繁に生じました。


 そして、得点場面はその利点を生かしたものでした。まず、前半28分、中盤の中央でスペースを見つけた藤田がイラクの不完全な守備を見逃さず、FW細谷真大(柏)にロブパスを送ります。準々決勝で復活のゴールを達成し、「昨年の調子が戻ってきた」と感じていた細谷が、見事なドリブルでDFをかわし、ゴールを決めて先制に成功します。


 更に42分、左サイドバック大畑歩夢(浦和)がボールを奪い合う局面をコントロールし、「球際で負けたくなかった」と前へと進出し、再度スペースを見つけた藤田にパスを送ります。その藤田は冷静に守備陣を乱すパスを打ち、荒木が高度な技術で一発触りでボールを収め、「ファーストタッチを重視した」上で、GKの動きを見極めた後、落ち着いたシュートで流し込みます。この2ゴールにより、試合の趨勢はほぼ決定的なものとなりました。



果てしなき挑戦とともに望む未来


荒木(中央)が挙げた第2ゴールが試合の趨勢を決めた

荒木(中央)が挙げた第2ゴールが試合の趨勢を決めた


 後半戦はイラクの仕掛ける反撃の波もあり、困難を予感させる局面が断続的に生じた。それでも、日本の選手たちは落ち着いて対応し、余裕をもってプレーしていました。


 しかし、2点リードは安心材料にはならない。特にこの大会では、決勝トーナメントでレッドカードが頻発し、PKの機会も多く見られました。いかに順調に進んでいるとしても、「予期せぬ事態」のリスクを無視することはできません。


 もちろん、追加点を取得できれば理想的なシナリオになるものの、易々と得点できるわけではありません。試合を慎重に運び、着実にクローズさせることが求められました。試合終了間際、やや疲労が見え隙を見せ始めていた大畑歩夢の位置に、普段はセンターバックの西尾隆矢(C大阪)を投入するなど、守備の強化を図った大岩監督の采配も光りました。


 中国戦で退場処分を受け、3試合の出場停止後に復帰した西尾をサイドバックで起用する戦略は、これが試合前の大岩の戦略にすでに組み込まれていたもの。復帰した西尾をこのタイミングで起用することには、何の躊躇もなかったと言えそうです。


 そして、試合はそのまま2-0で推移。日本はイラクを圧倒し、決勝進出、そしてオリンピック出場の資格を勝ち取りました。


 大岩監督は「積み重ねた努力がそのまま反映された一戦であった」と評価しつつ、次のようにも付け加えました。


「選手一人ひとりに明確な役割を与え、それぞれの責任感を浸透させ、そして自信を持たせる。それが試合の結果に繋がり、団結力を醸成し、チームの結束を強めていく」


 メディアエリアを去る直前に、大岩監督は希望に満ちた「次は決勝で」という言葉を力強く発しました。「オリンピック出場権の獲得はミニマム・ゴール」だったと藤田主将は言います。次なる目標は、5月3日の決勝での勝利を掴み、アジアの王者としての栄えある一歩をパリへと進めることでしょう。