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 2024/03/27 08:37

苦しい台所事情が予測されるヤクルト 巻き返しに向け、若手の躍進に期待


昨年は5位に終わったヤクルト。再度の飛躍に向け、複数ポジションに挑戦している内山など、若手の成長が不可欠だ

昨年は5位に終わったヤクルト。再度の飛躍に向け、複数ポジションに挑戦している内山など、若手の成長が不可欠だ


 いよいよシーズン開幕が目前となったプロ野球。1934年の日本プロ野球誕生から90周年のメモリアルイヤーとなる今季、覇権を奪うのはどのチームになるだろうか。春季キャンプ、練習試合を含めた実戦を経て、各チームとも一軍メンバーが固まりつつあるが、もちろん1年間を戦うには開幕一軍入りを逃した選手の存在や若手の突き上げも必要不可欠だ。そこで今回のコラムでは各チームの昨季の「ポジション別得失点貢献」をもとに、新シーズンを戦ううえでのポイントや展望を確認していきたい。貢献度に使用する選手評価は、野手の打撃をwRAA(Weighted Runs Above Average)、守備にはUZR(Ultimate Zone Rating)。投手はRSAA(Runs Saved Above Average)を用いている。いずれもリーグ内の平均的な選手と比較して、打撃・守備・投球でどれだけ得失点に貢献しているかを示した指標であり、本稿ではそれぞれ同一ポジションの平均的な選手と比較している。なお、RSAAの計算式で使用される失点率は実際のものではなく、守備の影響を排除したtRA(True Run Average)を使用している。


 今回、評価に活用した2つの指標(wRAA、RSAA)は、スポーツナビがプロ野球の週間MVPを選出する企画でも活用しており、指標の解説を以下リンクから確認できる。



チーム最大の弱点である先発陣。故障者の復帰なしでは厳しい建て直し…


ヤクルト投手:2023年得点貢献度

ヤクルト投手:2023年得点貢献度


 昨季は12球団ワーストの防御率を記録した投手陣。中でも先発投手の得点貢献度は-63.3と大きな課題となっており、ローテーションの建て直しがチームの浮上に必要不可欠な状況だ。複数年に渡ってローテーションを守っている小川泰弘、サイスニードの2本柱は今季も頼りになる存在だが、小川は故障で離脱しており開幕には間に合わない見込み。加えて、オフには昨季100イニング以上を投げて防御率3.22を記録したピーターズが退団しており、上位進出には複数の投手の台頭が求められる。しかし、奥川恭伸や山下輝が肘に不安を抱えているほか、ドラフト1位ルーキーの西舘昂汰も故障で春季キャンプは二軍スタートになるなど、コンディションに不安を抱えている投手が多く、厳しい見通しとなっている。


 そうした中、2021年からのリーグ2連覇に貢献した高橋奎二の復調が求められるところ。昨季は防御率4.60と不振だったが、その要因は過去のシーズンと比較して、自慢のストレートの球威が低下していたところにある。今季は本来の直球を取り戻せるかが復活のカギを握る。次に、2年目を迎える吉村貢司郎にも期待がかかる。ルーキーイヤーの昨季は4勝にとどまったが、ここまでの対外試合で17イニングを投げて3失点、15奪三振2四球と優れたピッチングを続けている。このほか14試合に先発して防御率3.05を記録した小澤怜史や、通算185勝の大ベテラン・石川雅規、ロドリゲスとヤフーレの両助っ人、社会人出身ルーキーの松本健吾などの候補が挙がるが、長いイニングを任せられる投手が非常に少ないのが現状である。



固定されつつあるブルペン陣と成長を見せる移籍組


クローザーとして定着した田口ら、移籍組がヤクルトのブルペン陣を支えている

クローザーとして定着した田口ら、移籍組がヤクルトのブルペン陣を支えている


 リリーフ陣はリーグ平均を上回るような強みには至っていないものの、勝ちパターンは充実した布陣となっている。昨季20ホールド以上をマークした星知弥や木澤尚文、清水昇といった面々がセットアッパーを担い、クローザーには33セーブを挙げた田口麗斗が座る。また、22年シーズンにロッテから加入した山本大貴、昨季ソフトバンクを戦力外になった嘉弥真新也がオープン戦で好投を見せている。ヤクルトでは近年、今野龍太や小澤など、他球団出身の投手が移籍を機にブレークを遂げるケースが多い。今季は西武からトレードで加入した宮川哲や、巨人から移籍して2年目を迎える育成選手の沼田翔平らの飛躍にも期待がかかるところだ。


 昨季はオールスター以降の後半戦では、リーグ2位の救援防御率を記録するなど、着実にブルペンの選手層は厚くなっている。一方で、試合後半のリードを守るために優れた投手をブルペンで待機させても、先発投手が相手にリードを渡してしまっては勝利から遠ざかってしまう。先発投手の穴があまりに大きすぎるため、リリーフから先発への配置転換、オープナーやブルペンデーといった采配を積極的に検討したい選手構成といえるだろう。



強打の若手捕手・内山壮真がユーティリティーに


ヤクルト野手:2023年ポジション別得点貢献度

ヤクルト野手:2023年ポジション別得点貢献度


 WBC優勝キャッチャーの中村悠平を擁する捕手陣は、攻守でリーグ平均レベルの活躍を見せた。中村は前年から打撃成績をやや落とし、3年連続ベストナインとはならなかったものの、盗塁阻止率.407と強肩ぶりは健在である。2番手以降の捕手も充実しており、21歳の内山は中村を上回るOPS.653を記録。昨季は出場機会を求めて外野手としても30試合にスタメン出場したが、今春のキャンプからは三塁の守備にも挑戦しており、ここまで攻守で高い適応力を見せている。近年は正捕手がレギュラーとしてフル出場するケースは減少しており、今後内山が捕手と野手の二刀流で活躍するモデルケースとなるかもしれない。


 そして、現在3番手の古賀優大は、キャッチング技術や鋭いスローイングを武器とする。相手のスキを突いたピックオフプレーでチームを救うことも多く、少ない出番ながら守備面で高いスキルを示している。



山田哲人の起用法に変化があるか


昨年は故障の影響で不調に終わった山田。今季の起用法にも注目が集まる

昨年は故障の影響で不調に終わった山田。今季の起用法にも注目が集まる


 内野に目を向けると、村上宗隆が守る三塁が強みのポジションだった。三冠王に輝いた22年から成績を落としたものの、リーグ2位の31本塁打を放つなど、攻撃面は球界屈指のレベルを保っている。一方、弱点となってしまっているのが二塁だ。昨季の山田は故障の影響もあって105試合の出場に終わり、打撃成績もOPS.721と低迷してしまった。年齢も30代を迎え、負担の大きな二塁でフル出場することが難しくなりつつあるかもしれない。山田の離脱を避けるためにも、コンディションをキープして成績を向上させるためにも、積極的な休養を挟みながらの起用も考えられるところ。そこで、カギを握るのが宮本丈と北村拓己の2人だろう。宮本は昨季右投手に対して出塁率.390を記録、巨人から現役ドラフトで移籍した北村拓は二軍で左投手に対して出塁率.468を記録しており、それぞれの強みを生かす起用が期待される。


 このほか、オスナが守る一塁と、長岡秀樹が守る遊撃はリーグ平均レベルとなっている。長岡は打撃が振るわなかったものの、高い守備力を発揮してショートでリーグトップの守備得点を記録した。内野は昨季同様のメンバーが今季も中心に起用される見込みで、やはり村上と山田の活躍度によってチーム状況が左右されることにはなるだろう。



外野手は指揮官の司令で守備位置をシャッフル


 外野ではサンタナが攻撃面で他球団と差をつくり、ライトがチームで最も強みのポジションとなった。サンタナは村上ほどの打撃成績は収めていないものの、セ・リーグの三塁手は強打の選手が集まっていることもあり、相対的にライトの得点貢献度が上回った。そのサンタナは今春の実戦ではレフトを中心に出場している。ライトの守備得点は丸山和郁が高い貢献を見せて大きな穴とはなっていないが、サンタナは約10点分のマイナスを計上していたため、レフトへのコンバートは適切な判断かもしれない。高津臣吾監督は春季キャンプで外野手が全ポジションできるように準備を進めており、サンタナに限らずベテランの青木宣親も実戦ではレフト以外の守備についている。


 昨季は塩見泰隆が度重なる故障の影響で51試合の出場にとどまり、センターの貢献度が伸び悩んだ。塩見がコンディションに不安なく出場ができるに越したことはないが、高津監督は主力が離脱するようなことがあっても、リスクを最小限に抑えるような取り組みを行っているようだ。新戦力ではリードオフマンとして実績のある西川遥輝が加入したほか、若手には二軍で本塁打王のタイトルを獲得した澤井廉が控える。内山や濱田太貴など選手起用の選択肢が多いこともあり、塩見とサンタナを除く外野1枠は流動的な起用が予想される。



故障者続出の中で、高津監督の手腕に注目が集まる


 リーグ2連覇から一転、昨季は最下位とゲーム差なしの5位に沈んだヤクルト。連覇に貢献したメンバーを脅かすような存在は少なく、そこに主力の不振が重なることで低迷につながってしまった。上位進出には主力メンバーの奮起に加え、新顔の台頭を期待したいところだ。特に課題である先発陣では、若手投手の飛躍に期待したいところだが、近年ドラフトで上位指名したローテーション候補に長期離脱の故障者が相次いでしまっている。過去10年間で規定投球回に到達したのは、小川、石川、ブキャナンの3名しかおらず、今季は1人でも多くの投手がローテーションの主力へと近づきたい。


 2020年の最下位から翌年リーグ優勝へと導いた高津監督の手腕に注目だ。