安田記念で見えてきた成功パターン
今週、東京競馬場では5週にわたるG1レースのフィナーレを飾る安田記念が開催される。前年、ソングラインが見事連覇を成し遂げた。本年度は香港からの出走馬2頭を含む、より一層激戦が予想されるフィールドとなっている。2014年からの過去10年のデータを基に、安田記念におけるレースの動向とその好走パターンを分析し、該当する馬を探る。分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVのデータを使用した。
前走G1レースからの回収率が著しい
■表1 【安田記念の前走クラス別成績(過去10年)】
※前走海外組は除外
表1より、前走を国内G1レースで戦った馬の成績を見ると、ソングラインを含む4勝を記録し、25.5%の複勝率で首位に立つ。特に過去6年間では、毎年少なくとも1頭が3着以内に入っており、3着以内の馬18頭中11頭がこのグループに属している。前走G1レース組の中でも、特にヴィクトリアマイルから参戦した6頭の馬が好成績を残しており、それらは前走で5位以内に入っていた。
高松宮記念からの出走馬では20年のグランアレグリア、天皇賞(秋)からは21年のダノンキングリーがそれぞれ優勝している。しかし、出走数が多い大阪杯組からは18年スワーヴリチャードの3位入賞のみと不振が続いている。
外枠が有利、低人気でも外枠から意外な上位入賞
■表2 【安田記念の枠番別成績(過去10年)】
表2では枠番別の成績を、内の1~4枠と外の5~8枠に分けて整理した結果、外枠の5~8枠からは8勝を挙げ、連対率・複勝率でも内枠を上回る結果となった。中でも7枠は、17年サトノアラジンを含む4勝を記録、各率でもトップを獲得している。また、1~5番人気と6番人気以下での成績を見ると、内枠1~4枠からは3着以内に入った馬10頭全てが上位5番人気以内である一方、外枠5~8枠からは好走馬20頭中、上位5番人気以内と6番人気以下が各10頭となっており、外枠からは穴馬の好走があり得るため、今年も注目したい。
関東圏の馬、特に牝馬の好成績が目立つ
■表3 【安田記念の所属別成績(過去10年)】
表3から、所属別で見ると、出走数は多いものの栗東の関西圏の馬よりも、美浦の関東圏の馬が勝利数・勝率・連対率・複勝率すべてで上位に立つ。特に近5年間で見ると、関東圏の馬の優勢が顕著で、3着以内に入った馬15頭中12頭を占めている。
さらに、関東圏と関西圏の牝馬成績を比較した結果、関東圏の牝馬は、ソングラインのような過去の勝者を含む3勝、58.3%の連対率と66.7%の複勝率という高い成績を残している。大多数が5着以内に入賞しており、この成功は、同じ東京芝1600mを使うヴィクトリアマイルの経験による恩恵が大きいと見られる。一方で、関西圏の牝馬は8頭全てが着外に終わっており、体力面での難しさが関係していると考えられる。
安田記念で好成績を収めやすい馬
■表4 【安田記念で連続好成績を収めた馬一覧(過去10年)】
表4には、過去10年間で安田記念で複数回好成績を収めた馬の一覧が掲載されている。ソングラインが前年とその前年に優勝しているなど、10頭が複数回の好成績を達成していることから、過去にこのレースで好結果を得た馬は再び好成績を収めやすいことがわかる。その中でも、アーモンドアイは2年連続で1番人気だったにも関わらず、2位と3位で敗れている。一方、ロゴタイプは共に8番人気でありながら連対し、ソングラインも共に4番人気で連覇を果たしている。その一方で、ダノンプレミアムは3年連続出走したものの、毎回7位以下であり、リアルスティールも2回の出走で共に10位以下だった。
【結論】
フィアスプライドとセリフォスに着目!
■表5 【本年の安田記念で目を引く出走馬】
(表5は5/29現在の情報に基づく)
今年の安田記念で特に注目の出走馬は、表5で紹介されている通り。分析結果から、今回特に推薦したいのはフィアスプライドとセリフォスの2頭である。
フィアスプライドは以前のデータで示された通り、関東所属の牝馬として見られる。前走のヴィクトリアマイルでは2位であり、差し追い込む競馬で上位に食い込んだことが評価される。今回はクリストフ・ルメール騎手から坂井瑠星騎手へとバトンタッチする予定であり、人気は落ちるかもしれないが、積極的にチャンスを狙う価値がある。
セリフォスは過去2年間の安田記念でそれぞれ4位、2位と好結果を残しており、特に3歳時には優勝馬のソングラインとわずか0.1秒差という僅差だった。昨年はシュネルマイスターを抑えての2位と、安田記念における相性の良さを証明している。過去の好走馬には有利な傾向があることから、この馬に注目だ。
一方、今回人気が予想されるソウルラッシュは、近2年の安田記念でそれぞれ13位、9位という成績であり、前走のマイラーズCでは強さを見せたが、安田記念との相性を考えると警戒すべき馬である可能性がある。