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 2024/05/27 23:42

ウルトラノホシのJRA馬と対等な戦い、南関東の精鋭ジョッキーも集結する3歳の頂点決定戦/佐賀・栄城賞のデータを徹底分析


2023年優勝馬テクノゴールド

2023年優勝馬テクノゴールド


日本ダービーが幕を閉じるや否や、佐賀競馬場に目が移る。そこではかつて「九州ダービー栄城賞」と称された3歳馬の頂点を決する戦いが、「栄城賞」として新たに命名される。JRAのダートグレード競走でも渡り合うウルトラノホシが注目されており、今回も注視に値する。


 この分析では最近10年のデータ、2014年から2023年までを基に行われている。



1番人気の安定感と予測不能の伏兵馬の存在


日本ダービーにおいては、19年のロジャーバローズ(12番人気)や96年のフサイチコンコルド(7番人気)のように、低人気馬の驚きの勝利が記憶に新しい。同様に、栄城賞でも不確定要素が多い。とりわけ意外だったのが14年の結果で、高知からの突如勝利をおさめた7番人気のオールラウンドや、10番人気のテッドが2着に食い込むなどがあった。1番人気の馬も3着に食い込むも、3連単が83万2350円という高額配当が出た。22年にも6番人気のイカニカンが勝利し、3連単で5万円超えの配当となった。そのため、3連単の平均配当は概ね10万6558円と高い水準であり、過去10回のうち6回が万馬券配当となっている。ただし、最も低い配当は16年で、1番人気→4番人気→3番人気の順に決まり、4190円という結果だった。


1番人気の馬の信頼性は高く、3着内率は90%にも達するが、同時に伏兵馬にも注意が必要となる。


単勝人気別成績

単勝人気別成績 【表1】



先行性能だけでなく、差し馬も成功しやすい


佐賀ダート2000mという舞台は、一見すると逃げや先行馬に有利なコースだが、実際には差し馬が4勝を挙げている。加えて、2着にも4回名を連ねており、中団グループからの差しが成功しやすい傾向だ。


一方で、逃げ馬の3着内率は58.8%と、他の重賞に比べてもやや高い数値を示しており、逃げ、先行、差しと、どの脚質を持つ馬にも可能性があると言える。


脚質別成績

脚質別成績 【表2】



内側枠からの勝ち馬の出現率が高め


馬番別の成績を見ると、一口に内外の枠による有利不利があまり影響していない。しかし、外側10番以上の枠からの勝ち馬はまだ出ていないという事実がある。


馬番別成績

馬番別成績 【表3】



目立たないが牝馬の優勝もそこそこにあり


性別に関しては牡馬と牝馬がほぼ互角の成績を示している。2019年以降はスーパージンガ、トップレベル、トゥルスウィーと3年連続で牝馬が栄城賞を制している。


性別別成績

性別別成績 【表4】



佐賀皐月賞で上位に入った馬の実力は見逃せない


それぞれのローテーションから見ると、佐賀の三冠初戦である佐賀皐月賞の上位3頭と、鯱の門特別での上位2頭を比べた成績は、前者のほうが4勝を挙げるなど顕著に優れている。佐賀皐月賞の上位入賞馬は3着内率が52.9%という高い確率を誇る。昨年の鯱の門特別勝ち馬であり、佐賀皐月賞からも条件を満たすテクノゴールドはそのベストの例だ。振り返れば、現行の競馬体系整備された2018年からのデータがそれを裏付けている。


ローテーション別成績

ローテーション別成績 【表5】



上位を獲るのは次のような馬だ


  • ① 1番人気
  • ② 佐賀皐月賞3着以内
  • ③ 内か中枠であればさらにベター


圧倒的な1番人気に推されるウルトラノホシには多くの視線が注がれる。地元佐賀での戦績は5戦4勝と見事で、JRA馬との競り合いにも船橋・ブルーバードカップJpnIIIで4着まで追い込んだ。その力は前走の佐賀皐月賞でも「6割くらいの仕上がり」と言われた真島元徳調教師の下で証明されている。ウルトラノホシにとって不安要素は見当たらず、2000mの距離適性も折り紙つきだ。石川倭騎手(北海道)は佐賀競馬場に精通しており、冬場は常にリーディング上位に名を連ねる実力者で、この馬にはこれまで7回騎乗している。①②③の条件を全て満たす。


対抗と目されるのは佐賀皐月賞3着のトレベルオールだろうか。出遅れからの追い込みで3着に食い込んだ同馬は、4戦連続で上がり3ハロン最速タイムを叩き出しており、差し馬が打開しやすいとされる今の舞台にもマッチしている。今回笹川翼騎手(大井)が初めて騎乗を行うが、その笹川騎手も過去にこのレースで2着に入った経験を持つ。②③に当てはまる。


佐賀皐月賞で2着に惜敗したデッドフレイは8番枠に入る。過去10回のデータを見れば、9番枠からも勝馬は輩出されており、枠の位置で不利があるわけではなさそうだ。3度目の挑戦となる重賞戦で、今回は遂に飛躍を遂げるか。③には該当する。


鯱の門特別からは今年の勝馬は出走がないが、4着のシーブレがその代表として注目される。しかし、鯱の門特別上位馬が佐賀皐月賞組に比べて苦戦傾向があるため、積極的に狙うのは控えめかもしれない。


トゥールリーはすでに重賞3勝を挙げており、矢野貴之騎手(大井)が前走の佐賀皐月賞(4着)に続いて再び戦列に加わる。「乗りづらさがある」が、「2000mの距離は問題ない」との声もあり、一層の向上が期待できる。牝馬ケンタッキーグレイは澤田龍哉騎手(船橋)に託される。出走馬は地元勢限定で、全国から来たジョッキーたちによる戦いとなる。


第66回栄城賞

第66回栄城賞 【出馬表】