MLB公式記者による2023年の世界野球ニュース・トップ10:千賀の活躍、アクーニャの大記録を抑えて1位は?
千賀滉大はMLBデビューイヤーで12勝7敗、防御率2.98の素晴らしい成績を収めた。
フロリダ州マイアミで開催されたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)決勝まで取材に参加したMLB公式ページのマイケル・クレア記者が報告。前回は「大谷翔平の10大ニュース」を振り返ったが、今回はメジャーリーグを中心に「世界の野球界10大ニュース」を紹介する。
千賀は「通常なら新人王」と評価された
まずは10位から6位まで。
- 10位:ピッチクロックの導入
- 9位:ヨーロッパ選手権の決勝
- 8位:ルイス・アラエス(マーリンズ)の活躍
- 7位:千賀滉大(メッツ)のルーキーシーズン
- 6位:韓国 チェ・ヒョンウが通算打点で国内記録を更新
ピッチクロックの導入が10位に挙げられ、「野球の変化」と述べられた。試合時間が大幅に短縮された。平均試合時間は約2時間40分で、昨季比で24分短縮された。クレア記者は、「ピッチクロックにより、60年代や80年代のような野球が再び見られるようになった」と述べた。
9位はヨーロッパ選手権の決勝。スペインが英国を下し、オランダやイタリア以外の国が優勝したのは1967年以来となった。これは各国の実力が拮抗してきたことを示す。
千賀滉大の活躍は7位にランクイン。クレア記者は、「千賀は過小評価されている」と述べた。オールスターにも選出されたが、メッツが早々にプレイオフ争いから脱落したことがその一因だが、他の日本人選手に埋もれたとも言える。
「大谷が圧倒的だったし、山本由伸の移籍の噂も大きな話題だった。佐々木朗希の話も盛り上がった」
WBCに出場しなかった千賀の選択は正しかった。今年はダイヤモンドバックスのコービン・キャロルが圧倒的で、新人王を逃したが、通常なら新人王の評価もあった。
「千賀の契約はかなり有利だ(5年総額7500万ドル)。メッツは良い契約を交わしたと思う」
キャロルが体現した「野球に身長は関係ない」
- 5位:野球のグローバル化
- 4位:新人王コービン・キャロル(Dバックス)
- 3位:アドリス・ガルシア(レンジャーズ)の満塁ホームラン
- 2位:ロナルド・アクーニャ(ブレーブス)の40本塁打、70盗塁
キャロルについてクレア記者は、「彼は小柄で身長が180センチに達しない。このサイズではアメフトは難しい。バスケも無理だろう。ホッケーならできるかもしれないが、野球において身長は関係ない」と指摘した。
2位はブレーブスのロナルド・アクーニャの40本塁打、70盗塁。アクーニャの野球愛、母国愛にも注目された。
「彼は昨年もベネズエラのウィンターリーグでプレーし、今年もMVPを受賞した日に試合に出場していた。ファンに対する最高の恩返しだ。野球が好きな選手はたくさんいるが、アクーニャは野球を生きることであり、死ぬまで続けるかもしれない」
大谷とアクーニャが同じリーグにいた場合、どちらがMVPにふさわしいかについて、クレア記者は「大谷に投票するかな」と述べ、「大谷は誰もやったことのないことを成し遂げているから」と述べた。
「(投票者は)彼らが異なるリーグにいてほっとしている」とも付け加えた。
今シーズンの野球界の10大ニュース。最終的に第1位に選ばれたのは以下の通り。
1位:WBC決勝の大谷 vs. トラウト
「やはり、WBCの決勝での大谷翔平とマイク・トラウトの対決がトップだろう。あの瞬間に勝るものはない。これから50年たっても、この瞬間が常に最高のものとして記憶されるだろう。もう、あんな場面は二度と訪れないだろう」
今年、大谷とアクーニャが満票でMVPを受賞したとしても、名場面の投票があれば、この対決が満票で選ばれるのは間違いないだろう。