外枠戦士の躍動か、それとも⑤グラインドアウトの実力に屈するか?/佐賀のル・プランタン賞レースデータ分析
ル・プランタン賞2023優勝者マルグリッドの躍進
第23回 ル・プランタン賞 – 地方の新鋭牝馬が火花を散らすダート戦
2023年4月7日、佐賀競馬第6レースで18時05分に発走予定のル・プランタン賞は、3歳の牝馬による地方全国交流戦。特に西日本の兵庫や高知から、多くの参戦があり、グランダムジャパンの中でより一層光を放つ戦いでもある。この分析では、2014年から2023年にかけての過去10年の実績データを基にして、この競争の特色を探求する。
※注記:2020年は2頭が2着で並んだ
佐賀の本命か?それとも兵庫・高知からの刺客か?
過去10年間で佐賀に籍を置く馬が6度の勝利を挙げて最多だが、一転して直近2年間はケウ(川崎)やマルグリッド(兵庫)といった他地区の馬が勝ち星を重ねている。好成績をおさめているのは兵庫や高知、そして川崎。これらの地域は1勝こそ少ないものの、上位入賞の可能性は高い。「その他」エリアから大井で2着、そして北海道や笠松で3着という例も見られる。
出身地固有の成績を示す 【図表1】
近年は上位人気馬が堅実に結果を出している
過去10年間で見られる傾向として、3番人気内の馬が勝利を収める確率が高い。過去5年間では三連単の配当が3000円未満であり、さらに詳しく見ると近3年は人気順の1番人気から3番人気で決着。ただ、18年以前にさかのぼると、人気薄の馬が2着や3着に食い込んだ実例もあり、これが三連単の平均配当を2万8612円へ押し上げる要因となっている。
単勝オッズとの相関を映し出す 【図表2】
前に行って勝つ!先行有利な傾向が顕著
佐賀のダート1800mコースは、スタート地点が向正面に設定され、コーナーは合計6回となる。この際立った特徴は、先行すると成績が良くなる傾向にあり、3着内率は43.3%となっている。佐賀は西日本に属し、スモールサーキットでも差しが決まりやすいが、ル・プランタン賞では差しが1勝のみを数え、2着5回、3着2回という結果になっている。先行力を有し名古屋の若草賞を掴んだレコパンハロウィー(兵庫)も、当レースでは3着に甘んじた例もあった。
走法による成功率の違い 【図表3】
勝利へのカギは外枠にあり
9番枠より外からの馬は特に勝率と3着内率が良い。上述した脚質の傾向を踏まえると、7勝を挙げる先行馬の中でも特に6勝は9番枠より外でのもの。なお、逃げ馬の場合は少し割合は低下するが、3着以内の馬5頭中2頭も外枠から出走している。19年に2着に入ったナンヨーオボロヅキ(高知)は、10番の枠からスピードを活かし先行の立ち位置を保った。
馬番ごとの排他的成績 【図表4】
同条件の花吹雪賞勝ち馬は圧倒的な信頼性を持つ
ローテーションによる成績分析では、花吹雪賞の勝ち馬の優秀さが際立つ。ほぼル・プランタン賞と条件が同じであり、唯一違うのは花吹雪賞が佐賀・高知相互の交流レースである一方で、ル・プランタン賞はより広い地域の交流戦である点のみ。過去10年で9頭の花吹雪賞勝ち馬が同レースに挑んでおり、その成績は6勝、2着1回、3着1回と非常に高い。唯一馬券に絡めなかったのは4着だった。兵庫からの参戦馬は、フェリシスが重賞3着、クライムエンジェルが重賞9着という過去実績があるが、それでも3着内率は62.5%となる。
どのローテーションからの参戦が有利かを示す 【図表5】
春の陣に4月の仔たちが照らす光
地方競馬の春季における重賞レースに着目すると、誕生月の傾向が話題になることがあります。特に佐賀での2歳・3歳の重要なレースでは、こうした月齢の影響は明確ではないものの、ル・プランタン賞に関しては4月生まれの馬が7勝という高い勝率を記録しています。この傾向は、連対率や3着内率にも同様に現れています。競走馬としての早生まれには属さないものの、牧場や種牡馬の影響があるのかもしれません。
各馬誕生月別の成績が示す不思議なデータ 【表6】
毛色にも統計的な特徴あらわる、特に栗毛に注目
毛色の統計としては、最も一般的な鹿毛より栗毛の馬がル・プランタン賞で輝く姿が多く見られます。栗毛馬が4勝を挙げ、他の毛色と比べて最も高い勝率を示しています。母数としては圧倒的な鹿毛馬も3勝を収めておりますが、青鹿毛や芦毛馬も密かに高い3着内率を保っています。
毛色別成績 【表7】
データから導かれる注目の馬はこれだ
①. 花吹雪賞の勝ち馬
②. 重賞で2着以内となった実績のある兵庫所属馬
③. 人気上位の馬
④. 逃げまたは先行する競走スタイルの馬
⑤. 可能ならば9番枠以外の外枠からスタートする馬
次のポイントはラッキーボーナスとして
⑥. 4月生まれの競走馬
⑦. 栗毛の馬
今大会での中心馬は、独断でグラインドアウト(高知ゆかり)と言えるでしょう。花吹雪賞で見せた8馬身の圧勝劇は、まさに高知所属馬がル・プランタン賞で見せる活躍を予感させるものでした。1日に誕生したこの馬は、4月生まれという幸運なサインも兼ね備えており、①③④をクリアしておりますが、偶然にも⑥にも該当します。
抜け出た一頭の存在が見受けられる中、挑む候補は多数。フェリシス(兵庫)は②にはぎりぎり当てはまらず、兵庫若駒賞では3着。その後のJRAでの2連戦おいて、最後は京都のりんどう賞で6着に食い込むほどの粘りを見せた。1勝馬とはいえ、その能力は確かです。また、石橋満調教師が率いる陣営は、自ら意欲を示してドバイの基地で学んできたばかりです。イグナイターの担当として、ドバイでの経験を活かした調整が行われることでしょう。③④⑤を満たしています。
①~⑦に当てはまらないが、期待の馬としてケンタッキーグレイ(佐賀所属)が挙げられます。花吹雪賞では7着でしたが、その後に延びる距離で堅実な走りを見せています。一方でクライムエンジェル(兵庫)も、逃げを打つ場合の連対率100%を誇り、外枠からの飛躍が期待されます。④⑤をクリアしている点が心強い。
第23回ル・プランタン賞の競戦図 【出馬表】