佐賀皐月賞の舞台へ南関東の注目馬ウルトラノホシが参戦/データから見る佐賀皐月賞
2023年の佐賀皐月賞を制したネオシエル
南関東からも注目の3歳馬が参戦する佐賀三冠の幕開け、佐賀皐月賞。2014年から2023年までのデータを基に、この年の重要な3歳重賞の分析を進める。
トップ人気を侮るな
過去10年のデータでは、勝利馬は全て2番人気以内に位置するという目を見張る事実がある。勝利馬は1番人気の馬で勝率が90%に達しているなど、1番人気の強さが際立っている。三連単の平均配当金は9321円であり、過去10年間で3回の万馬券発生は、7番人気以下の馬が2、3着に食い込んだケースによるものだった。
単勝オッズの傾向 【表1】
逃げ・先行策が勝利の鍵だが、追い込み戦法も無視できず
逃げや先行でレースを進める馬が圧倒的に優位に立っており、過去10回のうち9回を逃げ・先行馬が勝ち取っている。佐賀皐月賞特有のコース形状、特に短い直線での速力勝負は前方でレースを進めることの有利さを示しているが、差し馬が2着に7回、3着に3回入るなど、追い込み脚質での健闘も見逃せない。
レース戦略の傾向 【表2】
上位に入るためには先行・逃げが鍵
詳細な脚質分析において、勝ち馬はほとんどが逃げ・先行策を取り、唯一の差し馬も1コーナーを5番手以内で通過している。さらに、2、3着に多くの差し馬が名を連ねる中、9番手以内でレースを進めることが上位入着への近道であることが分かり、11番手以下からは3着入賞している例が特例としてのみ存在する。
1コーナーでの位置取り 【表3】
外枠からのスタートが好結果に繋がりやすい
馬番の偏りでは、外枠が有利とされる。最初のコーナーまでの距離が比較的長く設定されている佐賀皐月賞では、外枠からスタートすることで、理想の位置取りへと動きやすいという利点がある。
出走馬番による成績 【表4】
体重が重い馬の方が有利な傾向に
馬体重分析では、450kg以上の馬体重を持つ馬が高い成績を収めている。以前に2歳重賞の分析で、「2歳の秋には小さな馬体が有利に働く」という調教師の見解を提供したが、3歳の春季には、それなりの調教量を積むことが可能になり、馬体重のある馬がそのポテンシャルを発揮しやすくなる。
馬体重による分析 【表5】
牝馬への見方を再考
今年に入りダート三冠が新設され、その初戦である羽田盃において、牝馬のアンモシエラが見事な走りで2着に入った。佐賀皐月賞でも牡牝の競走成績に顕著な差は出ていないことから、牝馬であることによる割引は必要ないと言えるだろう。
性別による過去の成績 【表6】
どの馬に注目すべきか
推奨される出走馬の特徴は次のとおりである。
①上位2番人気までの評価
②逃げるか先行するか(1コーナーで5番手以内)
③5番より外の馬番
④450kg以上の馬体重
これに加えて
⑤好位から中団でレースを進めて差しを決められる馬
が3着までに入る可能性があると分析される。
※2、3着の馬は幅広い範囲から選択し、人気度に左右されないようにするべき
※牝馬に対する割引は考慮しなくても良い
現在のところ実績でトップを走るのはトゥールリーで、昨年の9月に行われたこの世代最初の重賞レース、九州ジュニアチャンピオンを含む重賞レースで3勝を挙げている。1月に行われた佐賀若駒賞では逃げ切って勝利し、先頭に立つ競馬が得意。今回は大井から来る競馬騎手、矢野貴之が初めて担当することになるが、①②の要件を満たしている。
もう一頭の注目はウルトラノホシだ。佐賀の新興星として名を馳せ、ブルーバードカップJpnIIIでJRA馬に肩を並べる走りを見せ、わずか1馬身差で4着となった。以降は挫跖により大井・京浜盃を回避しているが、今回は約2ヶ月半ぶりの復帰戦であり、その実力を如何なく発揮する可能性は高い。石川倭騎手はウルトラノホシとそのデビュー以来切っても切れない関係があり、今回も騎乗する。①③④に該当し、脚質は幅広く対応可能だ。
トレベルオールは、全地方重賞制覇を果たした騎手吉原寛人を金沢から迎える。前走の飛燕賞ではトゥールリーに次ぐ2着で不良馬場をものともせず迫っていた。今回も騎乗し、③⑤に該当する。
フークファンタジーはこれまでの重賞での好走経験を持ち、②③④の条件にふさわしい。
ケンタッキーグレイは最内枠からのスタートとなるが、最近のレース振りからすると、このフィールドだと後方からとなりそうだ。ただし、その末足は頼もしく、⑤の条件から上位入着が期待される。
第12回佐賀皐月賞の出走表 【出走表】