小野伸二、現役最後の瞬間 浦和戦で26年間のキャリア
サッカー元日本代表で、今シーズンで引退を迎える北海道コンサドーレ札幌の小野伸二選手が、J1最終戦となった浦和レッズ戦に出場し、26年にわたるプロ生活に別れを告げました。
小野伸二の最後の試合そして、J1の最終戦
“サッカーの天才”と讃えられた44歳の小野選手は12月3日、札幌ドームで行われたコンサドーレのJ1最終戦、浦和レッズ戦にて現役最後のピッチに立ちました。
小野選手はフォワードのポジションからミッドフィルダーとして先発出場。前半4分には浮き球のパスを左足で巧みに前に流し、チャンスを演出し、さらに前半11分ではペナルティエリア近くの左サイドから右足でのワンタッチパスで見せ場を作り出しました。
そして、前半18分にはコンサドーレがフリーキックのチャンスを得て、小野選手がキックを蹴りましたが、残念ながらゴールには繋がりませんでした。
小野選手は前半22分に交代し、3万1000人以上の観客が詰めかけた札幌ドームは、大きな拍手で包まれました。小野選手がピッチを去る際、対戦相手のレッズの選手たちもピッチ上で一列になり、花道を作りました。
試合はコンサドーレが0-2で敗れましたが、札幌ドームは終始、プロ生活26年目で引退を迎えた小野選手に感謝と労いの気持ちで満たされました。
試合後には引退セレモニーが行われ、小野選手は「今日でプロサッカー選手としての生活が終わりますが、私自身はこれからも変わらず、サッカーを愛し、楽しんで、サッカーを続けていくので、これからもどうぞよろしくお願いします」と述べました。そして、感謝の気持ちを込めて「自分の母は10月17日に旅立ちました。お母さんにひと言。私を生んでくれて、この素晴らしいサッカーに出会わせてくれて、ありがとうございました」と声を詰まらせながら語りました。
さらに、「これから第2の人生が待っていますが、少しずつ自分の道を進みながら、日本のサッカーに携わっていけるようにやっていきます」と述べ、プロ生活に終止符を打ちました。
こんな幸せなことはないって吐露しました
小野伸二選手は試合後の引退会見で、「満員の中でサッカーができたことに感謝しています。けがも多かったですが、この日を迎えられて、本当にこんな幸せなことはない」と心境を吐露しました。
44歳まで現役を続け、サッカーへの情熱を示してきたことについて、「自分らしくいられる時間だった。サッカーを通じて、たくさんの人に出会えて、人間として成長できた」とサッカーへの感謝を表明しました。
プロ生活26年でピークは高校生時代だったと振り返り、「当時、もっとSNSが発達していたら、もっと良いプレーを皆さんに見てもらえたと思う」と笑顔で話しました。
天才と称された小野選手が影響を受けた選手について問われると、元フランス代表のジダン氏を挙げ、「対戦したときに、あの方にはかなわないと思った」と述べました。
そして、今後について、「私のサッカー人生はこれで終わるわけではありません。これからは違う形でサッカーに携わっていきたい」と語りました。
“天才”小野伸二 オランダではUEFAカップ制覇にも貢献
小野伸二選手は10代から日本代表に選ばれ、1999年には当時の世界ユース選手権でプレーし、日本の準優勝に貢献しました。
18歳でフル代表にも招集され、1998年のフランスワールドカップから3大会連続で出場。さらに2002年にはオランダ1部リーグのフェイエノールトでプレーし、当時のUEFAカップ制覇に貢献しました。
国内では想像力豊かなパスと優れたテクニックで“天才”と称され、Jリーグ30周年を記念して行われたサポーター投票でベストイレブンにも選ばれました。
最後の最後
小野選手はJ1で最年長の43歳で今シーズンを迎え、開幕前の1月の取材で、「サッカーが好きだという気持ちがあるからこそ、ここまで続けられた」と語り、変わらぬサッカーへの情熱が彼の原動力であることを明かしていました。