マイラーズカップの情勢を徹底分析!
春の訪れと共にクラシックへの道が開かれ、次なる注目は一息つくG1シリーズの合間を埋めるG2レース群の舞台。今週は関心が集まる京都開催のマイラーズカップを、過去10年分のデータを基にして展望してみたい。データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを駆使している。
今走と前走で5番人気内が強い立場に
■表1【今走・前走人気別成績のデータ】
人気に関するデータから分析を始めると、今走1番人気の馬は複勝率が80%を超えるなど信頼度が高い。2番人気から5番人気までの馬も良好な成績を示しており、上位人気馬が力を発揮することが多い一方で、10番人気以下の馬の好走は稀。最低でも9番人気以内を目指すべきだろう。また、前走での人気に目を向けると(中央競馬のデータに限定)、前走1番人気から5番人気の間に該当する馬は、複勝率が30%から40%台と安定感がある。それに比べて6番人気以下だった馬たちは苦戦していることがデータからうかがえる。
芝1600mで高複勝率なら好成績の可能性
■表2【芝1600mの実績別データ】
芝1600mにおける成績にも焦点を当てたい。芝1600mの複勝率に基づいたデータでは、特に「複勝率80%以上」を誇る馬には半数以上が好走している。また、過去の重賞競走での最高成績に注目すると、「G1で1着」という実績を持つ馬は文句なしに好成績。さらに、「G1で2,3着」と「G1以外で1着」の比較で、前者が後者より好走する可能性が高い。すなわち、G2やG3での勝利よりも、G1での2,3着実績を持つ馬の方が期待値が高いと言えるだろう。
前走G2出場から連対する馬多数
■表3【前走クラス別成績】
前走におけるレース別のクラス成績も大事な指標だ。過去10年間で最も目立つのは前走G2に参戦していた馬たちで、合計6勝2位2回という成績で連対率が50%にも及ぶ。延べ57頭が参加した前走G3レース出身馬は、1位から3位を占める馬も11頭いるが、優位性はやや弱い。リステッド競走とオープン特別の組み合わせでは、合計48頭が出場し、数は多いものの選別が求められる。ソウルラッシュが唯一好成績(22年1着)を収めたのは前走3勝クラスで、条件戦の勢いをそのまま活かした例。その他、前走G1と海外レースを走っていた馬は計3回3着に入賞している。
前走G3出場馬の選定はタイム差に注意
■表4【前走G3出場馬の成績データ】
最後に、前走G3を出走した馬を検討する際には、前走での人気とタイム差が重要な要素となる。既に今走の1番人気から5番人気までが好成績を収める傾向が見られているが、G3の場合は前走での1番人気から3番人気が目安となる。前走でのタイム差は0.4秒以内が良い基準で、前走G3で1着だった馬よりもこの条件を満たす馬が結果を出しやすい傾向にある。
オープン特別・リステッド戦出身馬の出走間隔の重要性
■表5【前走リステッド・オープン特別出走馬のデータ】
前走リステッド競走やオープン特別に参加した馬たちの中では、前走での1番人気から3番人気にランクインしていた馬が上位を占めるパターンが多く見られる。好走した7頭中6頭がこの条件に該当。またこのカテゴリーの馬においては、前走からのインターバルが7週以下の場合、複勝率がわずか5.7%に留まる。しかし、8週以上の間隔を置いた場合、その連対率は38.5%まで上昇し、顕著な差が見られる。特にディープインパクト産駒に関しては、出走間隔や前走の人気に関わらず、成績【1.2.1.3】であるため、特に注意が必要である。
【結論を出すために】
注目のセリフォスとソウルラッシュ
前走リステッド競走から登録された8頭が最も力を持っているものの、その中で1番人気から3番人気に推され、かつ8週以上のインターバルを空けている馬はリューベックだけである。これに加え、ディープインパクト産駒のノースザワールドも見逃せない存在だ。
前走G3に参加した5頭の中で1番人気から3番人気に推されていた馬は見当たらないが、好走するためのもう1つの裏条件である前走のタイム差0.4秒以内に該当する馬はエアロロノアとエエヤンの2頭だ。前走G2で好成績を残したソーヴァリアントも注目に値する。ソーヴァリアントの過去の芝1600m戦の結果は、昨年のマイルCSでの12着だけであるが、ここで新たな魅力を発揮できるかもしれない。
このように、マイラーズCで注目されるグループの中で、条件にピッタリ合致する馬は多くはない。したがって、以前に触れた芝1600mの実績が勝敗を左右することも考えられる。G1で1着経験のあるセリフォス、G1で2着経験のあるソウルラッシュ、そして芝1600m(2走以上)で複勝率100%を誇るニホンピロキーフも有力候補に挙がるだろう。