元木大介が2024年セ・パ両リーグの順位を予想 覇権奪回を狙う巨人の投打のキーマンは?
岡本和真とタッチを交わす巨人コーチ時代の元木大介氏。巨人優勝へのカギについて語ってくれた
昨年までの5年間、巨人の作戦兼内野守備コーチを務めた元木大介氏がプロ野球開幕直前に2024年セ・パ両リーグの順位を予想。巨人のベンチからセ・リーグ各球団、交流戦で対戦したパ・リーグの各球団についてどのように分析していたのだろうか。4年ぶりのリーグ優勝を目指す古巣・巨人を中心に、今年のプロ野球をズバリ占ってもらった。
<元木大介氏セ・リーグの順位予想>
- 1位:読売ジャイアンツ
- 2位:横浜DeNAベイスターズ
- 3位:阪神タイガース
- 4位:広島東洋カープ
- 5位:東京ヤクルトスワローズ
- 6位:中日ドラゴンズ
巨人優勝のカギは岡本和真と大勢
守護神としての活躍が期待される大勢。元木氏も今後に向けて大きな1年になると話す
2019年から5年間、巨人のコーチを務めていた元木さんにとっては久しぶりの順位予想になるかと思います。まずは、セ・リーグからお願いします。
巨人、DeNA、阪神、広島、ヤクルト、中日の順で予想します。巨人は阿部慎之助監督に代わってから、若手が多く起用されるようになり、チームの雰囲気が変わってきています。キャンプやオープン戦を見ていると、チームの底上げにつながっている。ただ、1年間通してフルで戦った選手が少ないため、チーム状態が悪くなったときに立て直すまでに時間がかかるかもしれません。うまく回れば優勝もある一方で、Bクラスに落ちる可能性もあると見ています。
優勝するためのキーマンを挙げるとしたら。
間違いなく、和真(岡本和真)です。和真の代わりだけは誰にも務まりません。最低でも40本、100打点。本音を言えば、50本を目指してほしいですね。
岡本選手が50本打てれば、優勝も見えてきますね。
と言いたいところですが、打線が文字通り「線」としてつながっていかなければ、得点力は上がってきません。その意味では、門脇誠や吉川尚輝がどのぐらい出塁できるか。2割7分~2割8分打つことができれば、二遊間としては十分な成績です。
投手のキーマンはどうでしょうか?
大勢ですね。クローザーとして復活できれば、後ろが安定してきます。1年目は37セーブを挙げて活躍しましたが、2年目はケガもあり14セーブ。今季もケガで出遅れました。大勢にとっても、今後を占う大きな1年になるはずです。
若手の起用が増えそうな感じがありますが、元木さんの中で、ブレイクに期待する選手は誰になりますか?
2年目の萩尾匡也、浅野翔吾。あとは、再ブレイク期待の松原聖弥。外野のポジション争いは激しいですが、彼らが出てくることによって、チーム全体に良い刺激が加わると思います。
阿部監督の采配にも注目が集まります。
今までは「厳しい指導者」というイメージがありましたが、それだけでは若手は萎縮してしまう。監督もわかっているので、選手への接し方を変えようとしていますよね。どんな戦いをするか、私も楽しみにしています。
連覇狙う阪神は昨年の疲れが心配
阪神はオープン戦とはいえ、らしくない試合が続いているのが気がかりと元木氏は話す
2位はDeNA。
ルーキーの度会隆輝選手を筆頭に若手に勢いがありますよね。ただし、優勝争いに絡むには、オースティン選手の復活が絶対条件です。年間通して、中軸として働くことができれば、得点力がよりアップするのは間違いありません。あとは、実績のある宮﨑敏郎選手や佐野恵太選手がチームを引っ張っていけるか。若手だけでは、年間を戦い抜くことはできません。
今永昇太投手が抜けた先発陣はどのように見ていますか?
たしかに、不安はあります。東克樹投手や大貫晋一投手らがフル回転することが、Aクラス入りの条件になります。
3位は前年王者の阪神。
昨年から戦力はほとんど変わっていません。間違いなく、優勝を狙える力を持っています。ただ、オープン戦を見ていると、タイガースらしくない試合が続いているのが気になりますね。昨年の疲れが取れていないんじゃないかな……。優勝すると、オフにさまざまな行事が入ってきて、結構忙しいんですよね。38年ぶりに日本一になった精神的な安堵感も少なからずあるように思います。優勝するには、精神面の充実がカギになるはずです。
昨年2位の広島が4位。
昨年は7月に10連勝するなど、就任1年目の新井貴浩監督の明るさに引っ張られて勢いがありました。ただ、戦う側からすると、新井監督がどんな野球をするのか把握できたのは大きいと思います。動いてきそうで、意外に動いてこない。信じて任せているところが多く、特に菊池涼介選手のような実績のある選手はフリーにしている感じを受けました。
西川龍馬選手がオリックスに移籍した穴はどう見ていますか?
間違いなく大きいですよ。それでも、末包昇大選手、小園海斗選手、田村俊介選手など、将来が楽しみな若手が出てくるのがカープの伝統。若手にとっては大きなチャンスになります。
5位がヤクルト。ケガ人が増えているのが気になりますが。
あれだけケガ人が多いと、首脳陣も頭が痛いでしょう。Aクラスに入るには、塩見泰隆選手が1年間働けるかどうか。不動の1番として、優勝したときのような活躍が必須になります。
最下位が中日。
翔(中田翔)がどれだけチームを変えるか、個人的に楽しみにしています。投手陣は安定しているだけに、野手陣のリーダーとして若手を引っ張ってほしいですね。
<元木大介氏パ・リーグの順位予想>
- 1位:オリックスバファローズ
- 2位:福岡ソフトバンクホークス
- 3位:北海道日本ハムファイターズ
- 4位:千葉ロッテマリーンズ
- 5位:埼玉西武ライオンズ
- 6位:東北楽天ゴールデンイーグルス
黄金期突入のオリックスが4連覇
元木氏は中嶋聡監督が勝ち方を知っているオリックスが優位と見ている
続いて、パ・リーグをお願いします。
オリックス、ソフトバンク、日本ハム、ロッテ、西武、楽天でお願いします。
オリックスの4連覇。
山本由伸投手の移籍は痛いですが、山下舜平大投手や東晃平投手など若い投手がどんどん育っているので、カバーできると思います。何より、中嶋聡監督を中心に、1年間の戦い方、ペナントの勝ち方を知っているのが大きい。ベテランと若手のバランスも良く、黄金時代に入っていますね。
クローザーでは、40歳の平野佳寿投手が変わらぬ存在感を見せています。
決め球のフォークがクローズアップされますが、ストレートあってこそのフォークです。ストレートで押し込めているうちはまだまだやれるでしょう。
2位が小久保裕紀新監督のソフトバンク。
オリックスを追う一番手になります。山川穂高選手の加入によって、打線はより厚みを増しました。先発陣がやや不安な点と、オリックスとの経験値の差で2位と予想します。
巨人からウォーカー選手が加入しました。
やってくれると思いますよ。DH制のパ・リーグであれば、守備に対する心配がなくなりますからね。みなさん知ってのとおり、守備が大の苦手。打つ能力はありますし、走塁もアグレッシブにできる。大きな戦力になるはずです。
5年連続Bクラスの日本ハムが3位にジャンプアップ。
山崎福也投手の獲得に成功し、楽しみな外国人も加わり、チームの層が厚くなっています。新庄剛志監督も3年目で勝負の年。春季キャンプ前に会ったときには、「野球をする」と言っていました。ここまでの2年は、選手の力量を見極め、やりたい野球を伝えることに時間を割いていたと思います。パ・リーグをかき回してほしいですね。
強力な先発投手陣が引っ張る西武が4位。
その先発陣が、どこまでチームのためにプライドを持って、頑張れるか。厳しい言い方ですけど、個々の成績を優先して、メジャーリーグへの意識が強く見えるピッチャーもいます。
元木さんもよく知る炭谷銀仁朗選手が加わりました。
銀(炭谷)は経験豊富なキャッチャーなので、スタメンでマスクをかぶる機会が増えれば、投手陣をまとめることはできるかもしれません。若いピッチャーが多いだけに、その役割は大きいと言えます。
昨年2位のロッテは5位。
佐々木朗希投手次第でしょうね。小島和哉投手、種市篤暉投手ら計算できる先発はいますが、佐々木投手が柱として1年間働くことができれば、Aクラス入りは十分にあります。
最下位は楽天。
投手も野手も、意気のいい若手がなかなか出てこないのが気になります。ピッチャーは早川隆久投手、荘司康誠投手らが育ってきていますが、打つほうは浅村栄斗選手や島内宏明選手に頼らざるをえない現状。今江敏晃監督を迎えて、チームを変えていくにはもう少し時間が必要になると思います。