上半期のG1を締めくくる宝塚記念を分析する
今週は京都競馬場で、上半期のG1を締めくくる宝塚記念が行われる。ディープインパクトが優勝した2006年以来となる京都での宝塚記念で栄光を掴むのはどの馬か。JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して過去の傾向を分析したい。
前走G1組、海外組が高複勝率
■表1 【前走クラス別成績】
過去10年の前走クラス別では中央G1組が複勝率23.7%、海外組が同23.1%で他をリード。中央G1組は天皇賞(春)【3.3.3.33】複勝率21.4%、大阪杯(G1昇格後のみ)【2.2.1.16】同23.8%、ヴィクトリアM【0.0.4.4】同50.0%から好走馬が出ているが、今年はヴィクトリアM組が不在だ。海外組は日本馬で3着以内に好走した5頭中4頭がドバイシーマクラシックに出走していた。
海外遠征帰りなら前走3着以内
■表2 【前走海外からの好走馬(2000年以降)】
表2は2000年以降の宝塚記念好走馬9頭のうち、前走で海外のレースに出走していた馬を抜き出したものである。2018年の香港馬ワーザーだけは前走G3で6着だったが、日本勢はすべてクイーンエリザベス2世Cまたはドバイシーマクラシックで3着以内に入っていた。前述のように過去10年ではドバイシーマクラシック組が優勢だ。
天皇賞(春)組は同レース1着か4着以下
■表3 【前走天皇賞(春)からの好走馬】
天皇賞(春)組は、同レース馬券圏外敗退から3着以内に巻き返した馬が過去10年の好走馬9頭中6頭と多い。残る3頭は天皇賞優勝馬で、同レース2~3着馬は【0.0.0.10】と好走がない。また長距離一辺倒の馬では苦しく、宝塚記念と同じか前後する芝2000~2400mでG2優勝またはG1連対の実績が必要だ。
なお、今年の宝塚記念は天皇賞(春)と同じ京都での開催になる。同じパターンだった1991年には天皇賞4着のメジロライアンが、同1着のメジロマックイーンを逆転して優勝するなど、JRA-VAN Data Lab.でデータが提供されている1986年以降3回の例からは天皇賞の結果がアテになるとは限らない。
大阪杯組は過去3走の成績に注目
■表4 【前走大阪杯(G1)からの好走馬】
宝塚記念と距離の近い大阪杯組は、同レース6着以内馬にかぎれば【2.2.1.8】と好走馬5頭すべてが該当して複勝率38.5%。天皇賞(春)組のような前走7着以下からの巻き返しはない。また、大阪杯も含めた過去3走のG1で一度は連対していることと、過去3走のG1では6着以内、G2以下では1着に入っていることが好走条件として挙げられる。阪神の大阪杯にかぎらず他コースのG1でも過去3走では6着以内が条件のため、今年の宝塚記念が京都で代替されても傾向に変化はないものと考えたい。
前走G2以下なら5歳の穴馬が激走候補
■表5 【前走中央G2~G3からの好走馬】
最後に表5は、前走国内G2以下からの好走馬6頭。国内G1組・海外組との比較では劣勢だが、好走した6頭すべて6番人気以下と穴狙いなら注目は欠かせない。逆に4番人気以内の支持を受けた馬は【0.0.0.5】に終わっている(5番人気は該当なし)。この好走馬6頭のうち2014年2着のカレンミロティックを除く5頭に共通するのが、5歳馬で前走では連対していたことだ。前走が国内G2またはG3で1~2着だった5歳馬は【2.2.1.4】複勝率55.6%を記録している。
【結論】
シュトルーヴェの一発を期待
さて今年の宝塚記念だが、前走海外組や国内G1組に好走条件をすんなりクリアする馬は見当たらない。そこで今年は3勝クラス、日経賞、目黒記念と3連勝中の5歳馬・シュトルーヴェに一発の期待をかけたい。表5本文に記したように、前走のG2またはG3で連対していた5歳馬は複勝率55.6%の好成績で、さほど人気にはならなそうな点も好材料だ。
その他で減点材料が少なめなのは、海外組ならドバイシーマクラシックで3着に0.1秒及ばなかったジャスティンパレス、大阪杯組では2走前の京都記念が0.1秒差2着だったベラジオオペラ。また、7歳以上の日本馬は過去10年【0.0.0.25】のため、天皇賞(春)組なら7歳のディープボンドよりも5歳のブローザホーンに注目したい。