日本ダービーとは競馬の祭典
【データに基づく分析 日本ダービー週間】
今週は3歳馬の王者を決定する日本ダービーが開催される。三冠を達成したコントレイルなどの8頭の名馬によって制覇されてきた名レースである。JRA設立70周年を迎える今年、どの馬が栄えあるタイトルを獲得するのか。JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを駆使して過去のデータを分析してみたいと思う。
皐月賞連対馬の成績が素晴らしい
■表1 【皐月賞出走馬の前走成績】
日本ダービーでは、前走皐月賞出走馬が【8.9.6.70】で複勝率24.7%を誇るのに対し、他の馬たちは【2.1.4.78】で8.2%と、皐月賞出走組が優勢だ。過去10年においては、皐月賞で1,2着だった馬は全てダービー出走を果たし、【4.6.2.8】で複勝率60.0%を達成している。3着のジャンタルマンタルのように皐月賞で高い順位につけなかった年もあれば、4着以下に落ちるとこの率は顕著に下がる。皐月賞での上位2頭から目が離せない。
皐月賞で10位以下に沈んだ後、ダービーで3着以内に入ったのは1986年からのデータ提供以降でわずか4頭だが、それらは皆、皐月賞で3番人気以内に支持されていた。今年は皐月賞で3番人気内で10位以下だった馬はおらず、目をつけるなら上位入線の馬に限られそうだ。
皐月賞の際の馬体重の増減に注目
■表2 【皐月賞での馬体重増減】
皐月賞で上位に入ったものの中でも、馬体重が変わらずか増えていた馬が優れたパフォーマンスを見せる傾向にある。マカヒキやコントレイルのような過去の勝ち馬は、皐月賞では増減無しまたはプラス体重で出走し、ダービーに向けて体重を減らしたパターンで成功している。【2.4.1.0】という成績は馬券圏内を外れた例が一頭もないという驚異の記録だ。
皐月賞で4着以下だったら皐月賞以前は連対率100%だった馬
■表3 【皐月賞での4着以下から日本ダービー上位入賞馬】
皐月賞で4着以下から立て直して日本ダービーで好成績を収めた馬は7頭おり、ワンアンドオンリーを除く他の6頭は、皐月賞以外では敗北を知らなかった。できれば連対率100%で皐月賞に臨んだ馬が望ましい。
さて、ダービー当日の馬体重増減を見ると、プラス体重の馬は【1.0.0.15】と顕わに、マイナスだった馬は【2.1.2.35】で優位性を示している(表2)。そのため、皐月賞で4着以下だった馬を分析する際は、ダービー当日の馬体重の方向性を特に注目したい。
皐月賞以外のレースではトップ2の人気を集めた連対馬に目を向けよう
皐月賞以外の前哨戦からの挑戦者たち
■表4 【前走皐月賞を除く好走馬のデータ】
見てみると、過去に日本ダービーで好走を遂げた7頭の馬たちが前哨戦である青葉賞やプリンシパルステークス、京都新聞杯での走りを経て挑んでいるのを確認できる。しかし、中4週以上の期間を空けた例外の皐月賞出走馬以外は【1.0.0.14】という成績であり、2018年には弥生賞を制した後のダノンプレミアムが本命に推されながらも6着に終わるなど、ステップレース以外からの出走馬に関しては慎重な評価が求められそうだ。その他の7頭は前走で2番人気内に入りつつも2着以内の成績を収めているにもかかわらず、その条件を満たしていようとも【1.1.3.13】の結果であり、皐月賞連対馬の優位性に比べて見劣りしてしまう。皐月賞で4~9着だった馬たちと見比べても、やや劣るくらいの位置付けが妥当と言えるだろう。
母系がサンデーサイレンス系の輝かしい遺伝子
■表5 【父系・母父系の組み合わせと成績比較】
連対する馬の血統を探るうえで見落とせないのが父系や母父系がサンデーサイレンス系であることだ。過去20頭の連対馬のうち19頭がこの条件に当てはまっており、唯一条件に合致しなかったのは2015年のサトノクラウン(父がノーザンダンサー系、母父がミスタープロスペクター系)だけだった。この傾向から明らかなように、サンデーサイレンスの血統を引くことは、ほぼ必須の条件となり得る。
結論: 皐月賞上位のジャスティンミラノが台頭
今のところ、日本ダービーで特に有利と思われるのは、皐月賞での実績を持つジャスティンミラノであり、続いてコスモキュランダが挙げられる(表1参照)。両馬とも父がサンデーサイレンス系であり(表5参照)、さらに皐月賞での馬体重の変動を見ても(表2参照)、ジャスティンミラノは10キログラムの増加があったのに対し、コスモキュランダは4キログラムを減少させている。これらのデータを基に、ジャスティンミラノをより高く評価したい。
また、皐月賞で4位から9位だった馬で、それ以前の連対率が100%で、尚且つ父または母父がサンデーサイレンス系である点を探るなら(表1、3参照)、アーバンシックが頭一つ抜け出る存在であることが分かる。
皐月賞以外のレースから出走する馬においては(表4参照)、シックスペンスやシュガークンとダノンエアズロック(両馬の血統にサンデーサイレンス系が見られない)、ショウナンラプンタ(青葉賞7番人気)、ジューンテイク(京都新聞杯8番人気)など、無視できない減点要素が目立ち、それらをどう評価するかによって見方が変わってくる。ただし、牝馬であっても、皐月賞6着で3着内の実績があり、サンデーサイレンス系の血統を持つレガレイラも候補になるだろう。直近6年で見た傾向にも、6番人気以下の馬が高い確率で連に絡む状況があるため、当日の人気に応じて穴馬となり得る馬を見極めるのも一手である。