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 2024/03/21 08:51

阿南光の独特な技術と多彩な選手たち


センバツへの32年ぶりの出場を決めて喜びを表現する阿南光高等学校の選手たち

センバツへの32年ぶりの出場を決めて喜びを表現する阿南光高等学校の選手たち



第96回選抜高校野球大会の開幕とともに、全国32校の代表チームが集結します。それぞれが個性的なチームは、主催者から行われたアンケートを通して、彼らの魅力や現代の高校野球における状況を発信します。



様々なバックグラウンドを持つ選手達


センバツの舞台に32年ぶりに帰還を果たした阿南光高校の選手たちは、さまざまな経歴を持っています。アンケート結果によると、中学時代に全国大会を制した選手から、高校入学後に初めてボールを握った選手まで、その出自は多彩です。


高校から野球を始めたというのは藤崎健選手で、彼は昨秋の大会で外野の守備の位置でベンチ入りしました。アンケートでの高橋徳監督の言葉にも、「努力の人」と評された彼は、25人の中で唯一とも言える背番号獲得のストーリーを持っています。「GIANT KILLING」を好きな言葉として選んだ藤崎選手は、「強敵だからこそ挑戦したい」と大阪桐蔭との対戦を希望しており、短い野球経験の中で甲子園への夢が現実のものとなりつつあります。


吉岡暖投手や井坂琉星主将をはじめ、多彩なメンバーを統率することで知られています。中学校時代に硬式野球のヤングリーグで全国制覇を成し遂げた彼らは、他の参加校のプレイヤーがシニアやボーイズリーグで経験を積んで入学する中、地元中学での軟式野球経験者でもチームを支えています。中軸を任されている福田修盛選手も、軟式野球出身の阿南第二中の生徒です。


2021年夏の大会でセンバツとしては初出場した阿南光では、初戦で沖縄尚学に零封負けを喫していますが、現校名での「甲子園」での初勝利、そして初点を記録するかも期待の的となっています。



多種多様な特技と資格を持つ選手たち


「将来の夢」に関するアンケートに応える阿南光の野球部員たち

「将来の夢」に関するアンケートに応える阿南光の野球部員たち



阿南光高校は、徳島県内で初めて農工商を統合した学校として2018年に開校しました。この学校の特色は、多岐にわたる実技教育にあるため、生徒たちの将来に対する夢や得意技、取得している資格も非常に個性的です。



技術の習得からセンバツ出場まで


エース右腕であり、吉岡暖投手の特技は「アーク溶接」です。これは、発生する電弧を利用して金属同士を繋ぎ合わせる高度な技術を指します。チームの主軸である住江慶次郎選手を含む2名は、日本農業技術検定3級の資格を保有し、野菜の栽培方法や栄養学の基礎知識を身につけています。また、正しい電卓使用を含む計算技術検定を取得した選手も3名在籍しています。



チーム内には様々な才能が集まっており、「将来の夢」の回答は多岐にわたります。複数の選手が「特になし」、サラリーマン、幸せになる、プロ野球選手、理学療法士と答えました。他の選手は農家、歯科技工士、水族館の飼育員、トリマー、バスプロといった、さまざまな職業に就きたいと考えています。




公立校としての誇りと地元出身の選手集団


最速146キロの速球を投げる吉岡暖投手

最速146キロの速球を投げる吉岡暖投手


阿南光は、エースの吉岡投手とホームランバッター福田修盛選手を中心に、投打に充実した力強いラインナップを有しています。



昨秋の四国大会で4試合を完投した吉岡投手は、最速146キロの速球を誇り、スライダー、カットボール、ツーシーム、カーブを駆使しています。得意のフォークボールをさらに磨き上げて、王道の投球スタイルを構築しようと努めています。この冬は、より球速を伸ばすために、重たいボールを用いたトレーニングも導入。腕の角度をややスリークオーターに変えることで、負担軽減を試みており、中学時代の硬式ヤングリーグでの全国制覇の経験が貴重な財産です。吉岡投手と同じく全国大会の経験を持つ主将の井坂琉星選手や、矢藤颯太選手等、数多くの中心選手が学校に進学しています。



身長180センチ超の福田選手は、その長打力で注目されていますが、オフシーズンを利用し体重を減らす減量トレーニングに専念しました。増やしたトレーニング量により、体重を約90キロから86キロに絞り、動きの俊敏性が向上して60メートル走のタイムも確実に上がりました。スイングのキレも増し、本人もその手応えを実感しています。




高めあうチームワークと自己を信じる指導


ホームランを放ち煌めく福田選手

ホームランを放ち煌めく福田選手


練習では、新型金属バットに適応するために、木製バットを使用。住江慶次郎選手や福嶋稟之介選手は、打撃センスに優れ、快音を響かせながら芯で捉える感覚を身につけています。



矢藤颯太選手は、守備ではチームを支える要です。過去の大会でミスを経験しましたが、それをバネにして毎日約500本のリフティングをこなし、精神的、技術的な成長を遂げています。主将でもある井坂選手の体力も強化され、二塁への送球がより速度と精度を増しました。



指導者の高橋徳監督は否定的な言葉を避け、選手個々の自己肯定感を育むよう努めています。サインを意識せずに自分たちのスタイルを貫き通せるよう、精神的な負担を軽減する戦術も取り入れています。



阿南市は野球の町として知られ、多くの才能を育んできました。地元出身の選手が多い阿南光は結束力が強く、阿南旋風を巻き起こそうとしています。